中声(または女声)の練習方法 伸展 開大 閉鎖 収縮 引き上げ 引き下げを鍛える 仮声帯で内筋を包摂する 喚声点や地声から逃げず『拮抗』させる

地声のまま、ひっくり返らずに、楽に、または心地よいテンション感で、高音を発声するにはどうすればいいのか。
男性が女性的な声で歌ったり喋ったりするにはどうすればいいのか。

そのためには、喉の筋肉を適切に鍛え、地声と裏声のバランスを整え、中声(≒ミックスボイス)を出せるようになる必要がある。

結論から言うと、中声(男性的な良い声から中性的~女性的な美声)を出すのに必要な、鍛えるべき喉の筋肉は前筋(伸展)後筋(開大)閉鎖筋(閉鎖)内筋(収縮)仮声帯外筋
つまり喉の筋肉全てだ。

それらの喉の筋肉は、喉頭位置を引き上げたときと引き下げたときで発動度合いが違う
したがって、喉頭位置を引き上げる筋肉引き下げる筋肉を鍛えることが重要になる。

この記事では、中声を出すために必要な喉の筋肉の鍛え方を紹介する。

はじめに

このブログの発声訓練記事の最大の目的は、
平均的な内筋の強さを持つ成人男性が、男性的~中性的~女性的な中声で、チカラ強く心のままに自由に歌えるようになること
である。

この記事は、その目的のために俺が探求し実践してきた知識の集大成とも言え、約30,000文字ある。
一度読んだだけではまず理解できないと思う。

声は目に見えないものなので、世間ではあらゆる情報が錯綜している(Youtubeで溢れるミックスボイスのコツ等)が、仮に正しい情報にたどり着けたところで、各筋肉の働きや音がわからない人や、声を聞き分ける耳が育っていない人や、そもそもの理解力がない人や、何もかも手取り足取り教えてもらわないと学べない人などは、結局のところ迷走するだろう。

独学での発声訓練は非常に難しいが、まともな発声指導者がほとんどいないのも現状だ。

この記事には、俺が様々な検証を繰り返した結果、正しいと思える、確実性の高い情報のみをまとめた。
ただしあくまで俺の人格と精神性と声のバランスに最適化されたものなので、全ての人に100%の効果があるかはわからない。
少なくとも、俺と、人格や精神性や声のバランスが似ている人には役立つ可能性が高い。

ご了承の上、読み進めてください。

このブログのスタンス

  • このブログは、『一般的な内筋の強さを持つ成人男性』向けに書かれている。女性に役に立つかどうかは保証できない。
  • このブログでは、『どうやっても裏声が出ない男性』や『どうやっても地声でG4も出ない男性』等、現時点であまりに声の自由度が低すぎる男性は対象にしていない。
  • 身長の高さは声帯の長さ(声の低さ)と比例するなどの説や、生まれつきの共鳴腔の広さを気にして、中声または女声の発声を諦める男性がいるが、病気などではない限り、喉の筋肉を適切に鍛えることで、すべての人間が中声を発声可能となる。ただし、『スタート地点』の良し悪しは存在する。
  • 中声を満足に安定して発声できるようになるまでの期間は、スタート地点とその人の目標によって違うが、優秀な指導者についた上で3~8年程度ごく一部の例外を除いて、この記事を読み終わってすぐ出せるということはあり得ない
  • このブログでは、周波数やフォルマントを用いた検証はしない。
  • 喉の筋肉全てをバランスよく鍛えることが必須だが、『現在の自分のバランスから見て、どういう倍音構成の中声が出しやすいか』は色々あり、スタート地点と目標とする声によって、効果のある練習方法は違う。したがって『コツ』というものはほとんど効果がないと思ったほうが良い。
  • 練習の頻度は毎日が基本。内筋以外の練習は、多少やりすぎても問題はない。作業中などにでもこまめにやること。できる限りフルボイスが出せる環境(カラオケなど)でやること。
  • このブログでは、喉の『筋肉』を軸に声を説明している。記事下部の『はじめに読むべき記事』にできる限り目を通してください。

中声の定義や注意点

  • 中声とは、地声と裏声の中間の声(声区的には地声に属する)。
  • ミックスボイスや(音色としての)アンザッツ3bとほぼ同じ意味。
  • 中声が出せるようになることで、地声のまま楽に(または心地よいテンション感で)高音が出せるようになり、さらに訓練が進めば、力強い高音から、柔らかく漂うような高音まで、いろんな声を自由自在に切り替えて歌ったり喋ったりできるようになる
  • 中声には、地声が強いもの、裏声が強いもの、引き上げが強いもの、引き下げが強いもの、開鼻が強いもの、閉鼻が強いもの、またそれらの組み合わせなど、数多くの倍音構成があり、非常に混乱や迷走を生みやすい
  • 「○○って歌手はミックスボイス?」「自分ミックスボイス出せてます?」みたいな質問が溢れかえるのも、中声の倍音構成の多さ故。
  • イデア論的に、前筋発動0%の声も、内筋発動0%の声も現実には存在しない以上、広義では、すべての声は中声
  • 狭義の中声は、喚声点を超えた地声すべて
  • 小さい声で(張らずに)発声すればするほど色んな倍音構成ができ、混乱や迷走を生みやすく、歌い方を安定させるのが難しい。家だけではなく必ずカラオケでフルボイスでも練習すること
  • カラオケでフルボイスで、アップテンポでハイトーンな曲から、柔らかく歌うべきゆっくりな曲までを、何時間も続けて安定して歌えるかどうかが、中声の判断方法として重要。
  • 自分が『どういう倍音構成の(または、どんな人のような)中声が出したいか』という目標を常に明確にし意識すること
  • このブログでは、2時間のコンサートを1ヶ月10回のペースで続けても劣化しない、チカラ強い中声を目指す
  • このブログでは主に『ツヤとハリのあるチカラ強い中声』を発声可能になるための情報が書かれている。

中声を発声可能になる目的やメリットは以下。

  • 高音の楽曲を、地声的な響きで、過剰に苦しまず心地よいテンション感で歌える。
  • 静的に強力な伸展がある上での中声は、ピッチや滑舌が良くなる傾向があり、高音域も楽に発声できるため歌いやすい。加えて、静的位に強力な伸展があれば、拮抗量的に、内筋を過剰には入れる必要がないため、歌いすぎたり歳をとったりしても伸展が弱まっていく傾向が低く、長時間・長期間の歌唱の際も比較的安全(声を失いづらい)。

このブログでは以下の方たちのような方向性の中声を目指している。

  • 中川晃教 さん
  • yasu さん(Janne Da Arc)

女声(女性的中声)の定義や注意点

  • 『女声』という言葉には『パス度を上げることに執心しているような印象』がついているが、このブログでは、パス度を上げることに執心しない。真に自由度のある女声は必然的に『美声』であり、美声に性別は関係ないからである。したがって以下では『女声』ではなく『女性的中声』という言葉を使っていく。
  • このブログでは、『男性が発声する、女性的な響きと音域を持つ美声』を女性的中声の定義とする。
  • このブログでは、平均的な内筋の強さを持つ男性が、カラオケやライブハウスでフルボイスでアップテンポの曲を数十曲連続で歌えるレベルの女性的中声を目指している。
  • このブログでは、アニメ声的女性的中声ではなく、自然かつ美声な女性的中声を出せるようになることを目標としている。上述したが、それはつまり『中声(≒ミックスボイス)』の自在性の一つ。
  • 喚声点よりだいぶ高い音程ばかり出すことで、『喚声点から逃げる』ような女性的中声は、このブログでは推奨しない。そういった場合、たいてい美声ではなく、カラオケ等でフルボイスで歌うことも難しい。
  • このブログでは、家でしか出せないような、声量、強さ、操作性、自在性しかない女性的中声は不完全なものとする。
  • このブログでは、台詞や喋りより、歌うことを主な目的としている。
  • 当ブログでは、女性的な抑揚の付け方や節回しについては言及しない。各自、女性を真似したり、自分が思う女性的なイメージを練り上げていってください。

女性的中声を発声可能になる目的やメリットは以下。

  • 女性的な声で歌ったり喋ったりできるようになる。
  • 他すべて、中声と共通。

このブログでは以下の方たちのような方向性の女性的中声を目指している。

  • VIP店長 さん
  • まふまふ さん
  • 相宮零 さん

筆者の女性的中声のサンプル

普段の喋り声

一般女性風女声

アニメ声風女声↓

コンバンハ

なんだ!

ニャース的女声

中性的中声

中性的中声→男声的中声

※男性的~中性的中声の歌唱音源は記事中にもあります。

喉の『筋肉』を鍛える

声を変える・成長させるために重要なのは、遠くに『飛ばす』意識でも、鼻に『響かせる』、『腹から出す』意識でもなく、『腹式呼吸』でもなく、
喉の『筋肉』を適切に鍛える
こと。

この記事では、男性が中声を発声するために必要な、喉の各筋肉の鍛え方を紹介していく。
男性が出す、男性的な中声も、女性的な中声も、すべては『中声(≒ミックスボイス)』の自在性の一つであり、訓練の方法も大部分が共通するので、男性的~中性的~女性的中声、すべて織り交ぜて訓練法を紹介していきます。

喉の筋肉は色々あってややこしいが、喉頭は引き上げられるか引き下げられるかしかなく、声帯靭帯の引っ張られ方も大きく分けて、
伸展・開大・閉鎖・収縮
の4つのみ。

詳しくは記事最下部の『はじめに読むべき記事』にある各筋肉の働きを説明した記事を参照。
ここでは重要な特徴のみ挙げておく。
()内は対応する筋肉名。

伸展(前筋)=声帯を薄く引き伸ばす。女性的になる。高音発声、音程コントロール、ビブラートの要。喉頭位置を引き下げたときに最大限発動する。
開大(後筋)=声帯を開く。喉頭位置を引き下げたときに最大限発動する。
閉鎖(閉鎖筋、外筋)=声帯を閉じる。喉頭位置を引き上げたときに最大限発動する。
収縮(内筋)=声帯を分厚くする。男性的になる。声を張る、ベルティング、低音発声の要。喉頭位置を引き下げたときに最大限発動する。

仮声帯=ノイズを鳴らす。閉鎖を促進する。抵抗の点によって声門にかかる圧を軽減し、収縮を緩和する。声帯を包摂している。枯れない声、強靭な喉に必須。喉頭位置を引き上げたときに最大限発動する。

引き上げ(喉頭位置を高くするということ)
引き下げ(喉頭位置を低くするということ)

耳のレベルと声のレベルは連動しているので、あらゆる声を聴いて徹底的に耳を鍛える必要がある。
声を聴いて、各筋肉がどのように発動しているか聞き分けられるようになるのが大前提

どういった倍音構成の中声でも共通して重要な要素は以下(開鼻・閉鼻に関しては例外あり)。

  • 強力な伸展
  • 強力な開大
  • 強力な閉鎖
  • 強力な収縮
  • 強靭で自在な仮声帯
  • 喚声点付近の裏声を強く出せること
  • 開鼻(ハミング)
  • (地声と裏声の)強力な拮抗

上にも書いたが、その人の現在の筋肉のバランスによってどの筋肉の訓練を優先すべきかはそれぞれ

多くの男性はまず『内筋(つまり地声、男成分)』が強すぎるはずなので、とりあえずこの記事では『伸展』『開大』『閉鎖』『仮声帯』を徹底的に鍛えつつ、適切に『内筋』の練習をしていくことを推奨する。

以下では各筋肉の具体的な鍛え方を紹介する。
まず伸展・開大・閉鎖・収縮に分けたトレーニングを記し、その後それらの『融合』練習の方法を記す。
(この記事で紹介している以外にも色々なトレーニング方法があるので、興味がある人は調べてください。)

基本的に、全てのトレーニングは呼気と吸気の両方でやることをおすすめする。
加えて、大きくビブラートをかけて揺らしたり、できるだけ長く発声したりすることでも、効果が上がる。

この記事はものすごく長い上に、現時点では添付音声は少ないが、普遍的かつ確実性の高い情報のみを載せている。
迷走しそうなときは何度でも読み返してください。

この記事で頻出する各『アンザッツ』の参考音源は、以下からダウンロードできます。
ZIPでダウンロード

伸展(前筋)と開大(後筋)を鍛える

伸展と開大はすべての『土台』であり、あらゆる声の安定のために最も重要。

「声の調子が悪い」
という場合、多くの場合は伸展と開大が十分にできていない。

喉を開く
という言葉も、意味や定義は錯綜しているだろうが、主には、伸展と開大が十分にできているか、ということである。

伸展は、高音発声、音程を取ること、ビブラートを掛けることの要である。
男性は伸展が弱い人が多いので、これだけ歌が下手な人、苦しそうに歌う人、音程が悪い人が多い。

多くの女性はもともと伸展が強く、ひたすら声帯を薄く使っている。
男性が女性的な声に近づくためには、強力な伸展によって、女性のように声帯を薄く引き伸ばす必要がある。

開大は、伸展をサポートする(後筋は前筋をサポートする)。
両方とも、喉頭位置を下げるほどに最大限発動する

後述するが、閉鎖も収縮も、静的に伸展と開大が強くなければ、どうやってもできない
つまり、地声で高音を出すのも、静的には強力な裏声が必要ということである。
(例えば、A4を地声で出したいと思ったら、裏声でA5くらいを余裕で出せる程度の静的な伸展が必要。)

現代社会では、男女ともに、地声で歌い地声でしゃべるのが一般的であり、一日の中で出す声のほとんどは地声だ。
地声ばかり出し続けることで声帯は慢性的に閉鎖し収縮するので、伸展と開大は弱まっていく。

ただ地声で喋ったり歌ったりするだけで、伸展と開大は少しずつ劣化していくのだ。
だから、伸展と開大は、意識して鍛えていく必要がある
身体も、ストレッチをしないと固くなっていくが、それと似ている。

男女ともに、歳を取ると声が低くなるが、それは伸展と開大が衰えていっているからだ。
女性はもともと伸展が強いのでその傾向が低いが、それでもやはり、年を取るごとに高くなっていく、ということはない。
歌手も、歳を取ると声が劣化していく人が多いが、その原因の過半数が、伸展と開大の劣化によるものだ。

すべての伸展は消耗品である。
すべての開大は消耗品である。
ということを覚えていてほしい。

ただ消耗品と言っても、ちゃんと鍛えれば、生理学的には80歳以上になっても力強い声を維持できる。

上述のことから、発声訓練で鍛えるべき筋肉は、喉の筋肉すべてだが、特に重点をおいて鍛えるべきは伸展と開大であると言える。

以下では、伸展と開大の鍛え方を紹介する。
つまり、喉頭位置を引き下げる筋肉を鍛え上げるということ。

基本的に、喉頭位置を引き下げる筋肉を鍛えるのは、閉鎖を鍛える練習(つまり喉頭位置を引き上げる練習)よりも、色んな意味で大変だ。
その分重要なので、最も重点をおいて、多くやってほしい。

繰り返すが、
「なんか声の調子が悪い」
というときは、多くの場合は伸展と開大が死んでいるので、何度でもここに立ち戻ってください。

とにかく限界まで高い声を出す

伸展を鍛えるには、とにかく声帯を薄く薄く引き伸ばす必要がある。
それによって、前筋こと輪状甲状筋が鍛えられる。

声帯を薄く引き伸ばすにはどうすればいいかと言うと、とにかく限界まで高い声を出すこと。
つまり、裏声最高音を伸ばすということである。

とにかく自分が出せる限界の高い裏声を出しまくる、それだけで伸展は鍛えられる。

ただし、その際に、喉頭位置はできるだけ下がった状態を維持すること
上にも書いたが、喉頭位置が下がった状態が最大限の伸展と開大であり、喉頭位置が上がってしまうと、閉鎖筋や外筋など、地声系の筋肉が入ってきてしまう。
地声系の筋肉は声帯を収縮させるため、純粋に伸展が鍛えられなくなる。
もちろん、仮声帯などのノイズも入ってはいけない

あくまで喉を開いている感覚を保ったまま、つまり喉頭位置を引き下げたまま、限界まで高い音を出すこと。
詳しくはアンザッツ6の項目を参照。

(ただ、あまり細かいことを気にしすぎても楽しくないため、めちゃくちゃに叫んでみるのもいいと思う。)

また、自分が出せる裏声の最高音はどのくらいかは、定期的に記録しておくこと
裏声最高音は訓練次第でかなりのところまで伸びる。
裏声最高音が伸びていくことは、伸展つまり前筋が鍛えられていることの証明である。

純粋な裏声を鍛える

純粋な裏声は、地声と裏声の分離の要である。
純粋な裏声がどれだけ純粋に出せているかで、地声と裏声がどれだけちゃんと分離されているかわかる。

純粋な裏声は、裏声系すべて、または声すべての判断基準としても重要。
声の調子を見極めるのにも使える。

純粋な裏声は、伸展を鍛えるためにも重要。

出す際の注意点は以下。

  • B3~B4くらいまでの音域で出す
  • ビブラートをかけない
  • ウの母音で出す
  • 息漏れ気味で出す(息”吹き”ではない)
  • 色んな喉頭位置で出せるが、基本は中間くらいの位置で出す
  • 内筋・外筋・閉鎖筋など、地声系の筋肉を一切入れず、とにかく『カスカス』な音にすること
  • アインザッツ(音の立ち上がり)はすばやく、柔らかく、が理想

純粋な裏声の発声時に、前筋(輪状甲状筋)がちゃんと働いているかを確認する方法について。

まず、喉仏に人差し指を当て、そこから下へ行くとへこみがある。
そのへこみの更に下に喉仏ではない隆起があるが、そこが輪状軟骨。
裏声の発声時にその部分が奥に引っ込む場合、輪状甲状筋がちゃんと働いている証拠。

純粋な裏声に限らず、高い声を出そうとすればするほどこの部分が奥に引っ込むので、実際に指で触りながら確かめてください。

先程、とにかく裏声で高音を出すことが練習になると書いたが、純粋な裏声で、純粋さを保ったまま限界まで高音を出すのも、伸展を鍛えるのにかなりの効果がある。

純粋な裏声や、裏声の出し方については、以下のブログ記事でとても丁寧に解説されているので、さらに詳しく知りたい人は参照してください。

 こんな人におすすめ息漏れの多い裏声のコツを知りたい裏声が綺麗に出せない、裏声の音域が狭いなど、裏声の悩みを解決したいこの記事では数ある裏声の練習方法の中でも基礎となる「純粋な裏声」について紹介します。ほぼ場所を問わず小声でできる練習なので

上に、純粋な裏声は声の調子を見極めるのにも使えると書いたが、純粋な裏声がうまく出せない時は、まず伸展と開大が死んでいる。

伸展と開大を短期間で復活させる方法も一応あるので、二つ紹介しておく。

一つ目は、できるだけ地声系の筋肉が入らないように、呼気と吸気で交互に高速で裏声を出していくこと。
二つ目は、口を、手や服の袖で塞いで、少しだけ息が出るようにし、喉頭位置を目一杯下げ、アンザッツ6(後述)で低い音から高い音まで上昇し絶叫すること。

詳しくは以下の記事にも書いたので参照してください。

発声練習(声の準備)の方法 歌唱や声真似の前にベストコンディションにするには 喉と体を温める 伸展と開大を復活させる
ここでの、 『発声練習』 という言葉の定義は、 『歌を歌う前(ステージなどの本番前やレコーディング前)に、一時的に特定の行動をすること...

アンザッツ6を鍛える

伸展と開大が最大限働くのは、喉頭位置を下げたときだと書いた。
つまり、伸展を鍛えるポイントはとにかく、喉頭位置を最大まで下げて裏声を出すということ。

そのために役立つのが、『アンザッツ6』という声である。

『アンザッツ6』
とは、簡単に言うと、
『伸展と開大が最大限発動した声』
つまり、
『喉頭位置が最大まで低い裏声』
のことだ。

アンザッツ6とはつまりどういう声なのか、というと、
『女性ソプラノ歌手の声』
が近い。

アンザッツ6は、喉頭位置を引き下げるのが苦手な人はかなり出しづらいと思う。

喉頭位置が低い状態を保つには、体ごと(首周りごと)体勢を変えるのも有効
姿勢を正し、少し下を向き、顎を限界まで引いてみると、喉頭位置が強制的に引き下がるので出しやすい。
それでも難しい場合は、その状態で更に口を開けて、下の歯を指でさらに下に押さえつけて出そうとするといい。
他にも、ひたすら大口を開けて出したり、あくびをする時の喉の形にして『舌根』を下げることでも、喉頭位置が連動して下がりやすく、引き下げを保つことができる。
実際に喉仏を触って、喉頭位置が下がっているか確かめるのもいい。

また、吸気発声時のほうが、呼気発声時よりも開大が働きやすいため、吸気と呼気で交互にアンザッツ6を出してみて、コツを掴んでいくのもいい。

吸気発声に関して詳しくは以下の記事を参照。

仮声帯発声と吸気発声の方法と効果 閉鎖筋や引き上げが鍛えられ呼気圧迫を軽減できる 声の成長速度を早める 等
仮声帯発声とは、声帯の上にある仮声帯というひだを内転させて出すノイズのかかった声のこと。 その声を出すことによって、主に閉鎖筋が鍛えられる...

喉頭位置を引き下げた時が最大限の伸展というだけあって、アンザッツ6を出している時が、声帯が最も薄く伸びている感じがあると思う。

アンザッツ6で、とにかく高音を出していくこと。
喉頭位置をできる限り低く保ったまま、音程を上昇させていく。

アンザッツ6はどうしても音量が大きくなるので、カラオケでやることをおすすめする。

アンザッツ6の発声時には、上で紹介した伸展のトレーニングと同じく、地声系の筋肉は入ってはいけないし、ノイズもかかってはいけない。

ノイズは主に喉頭位置を引き上げたときに発動しやすく(仮声帯や外筋)、とにかく喉頭位置を引き下げて出すことが重要なアンザッツ6や伸展練習においては邪魔なものとなる。
ノイズは主に閉鎖を鍛えることに役立つ場合が多く、開大を鍛える際に発動してしまうと、純粋な練習効果を得にくくなる

また、内筋という地声系の筋肉も、喉頭位置を下げた時に最大限発動するため、アンザッツ6をやろうとすると内筋が入ってしまうという人は多い。
それに関しては、他の伸展練習などと同時進行し、とにかく内筋を入れず、あくまで喉頭位置を下げたまま裏声を出せるようになってくださいとしか言いようがない。

あと、ホイッスルボイスという極高音発声も、伸展練習にはなる。
だがホイッスルボイスには外筋つまり地声系の筋肉が関与しており、喉頭位置も上がることになるので、ホイッスルボイスを出したあとは、開大が死ぬ。
つまり最大限の伸展が死ぬ。
なので、この記事ではホイッスルボイスはあくまで閉鎖を鍛えるものとして、閉鎖の項目に記した。

ちなみに、アンザッツ6とホイッスルボイスの連結や、アンザッツ6に仮声帯ノイズをのせられる人はかなり高い発声能力を持っていると言える。
強力な引き下げと強力な引き上げが両立していないと、その二つの声は発声できないからだ。
それについては、仮声帯の項目に記した。

ここまでで、伸展と開大を鍛える方法は以上です。
何度も書くように、伸展と開大は意識して鍛えないとどんどん衰えていくため、伸展と開大のトレーニングは常に最優先で行うこと

裏声最高音発声や、純粋な裏声や、アンザッツ6は、声帯が強くストレッチされるため、カラオケ前の発声練習としても最適
何か声の調子が悪い、というときは、上記のトレーニングをやることで復活することも多い。
特に純粋な裏声はこまめにを出すことをおすすめします。

閉鎖(閉鎖筋、外筋)を鍛える

上述のように伸展と開大は何より重要だが、『閉鎖』も、あらゆる意味で重要だ。
地声と裏声を繋いだり(喚声点をまたいだり)、声に鋭さツヤを出したり、呼気圧迫を軽減したり、かなり重要な役割がある。

『十分な伸展と開大がないと閉鎖もできない』
と書いたが、
『十分な伸展があるからと言って、自動的に閉鎖も強まる』
というわけではない。

閉鎖は、伸展と開大の逆で、喉頭位置を引き上げるほどに最大限発動する
喉頭位置を引き上げるトレーニングをしなければ、閉鎖を強めることは出来ない。

以下では、閉鎖を鍛える練習、つまり喉頭位置を引き上げるトレーニングを紹介していく。
安心してほしいのは、伸展と開大を鍛える練習、つまり喉頭位置を引き下げる練習よりは音量も小さく済む場合が多く、比較的楽に鍛えられる(と俺は思う)。

注意してほしいのは、閉鎖のトレーニングばかりに偏ると、つまり筋肉が引き上げのほうに偏ると、必然的に伸展と開大、つまり引き下げがうまく発動できなくなる傾向がある

短期的にも長期的にも、引き上げと引き下げのバランスが取れていることが、自由な発声には重要なので、閉鎖の強い声やツヤのある声を急ぎたくても、あくまでバランスよく練習すること
(どちらかというと伸展・開大つまり引き下げ多めくらいがちょうどいい。)

アンザッツ1と5で閉鎖筋を鍛える

繰り返すが、閉鎖は、喉頭位置を引き上げた時に最大限発動する。

つまり、喉頭位置を引き上げた地声や裏声を出せば鍛えられるということになる。

喉頭位置を引き上げた裏声が『アンザッツ5』で、
喉頭位置を引き下げた地声が『アンザッツ1』である。

どちらも、喉頭位置を最大まで引き上げ、閉鎖筋を最大限発動させることが重要。

喉頭位置が上がりきらない時は、舌をべーっと最大まで出してやってみるとうまくいきやすい

アンザッツ5はあくまで裏声なので、内筋や外筋、つまり甲状披裂筋は入ってはいけない
最大限引き上げ、閉鎖が発動している必要があるが、裏声系アンザッツなので、あくまで軽い音色で出せるようになることが重要

アンザッツ5を、甲状披裂筋が入らないように出す、軽く出すのにも、やはり伸展の強さが重要なので、上述の伸展と開大を鍛える練習も常に行う必要がある。

アンザッツ5の純粋さや鋭さを保ったまま、喚声点以下まで下降していく練習などをやり、あらゆる音高や口の形で、閉鎖を発動できるよう鍛えること。

閉鎖を促進するために、
外筋
と、
仮声帯
を鍛える必要がある。

以下ではその方法を書いていく。

エッジボイスとホイッスルボイスで外筋を鍛える

閉鎖筋による閉鎖と、外筋による閉鎖は、厳密には違うが、どちらも喉頭位置を引き上げたときに最大限発動することは共通。

外筋を鍛えるには、エッジボイスという声が有効。
呪怨の佐伯俊雄のような声である。

エッジボイスは喉頭位置が高い方が発声しやすく、ある程度息の量が少ないほうが発声しやすい。
多くの人は寝起きにこの声が出しやすい。

エッジボイスにはいくつか危険性や注意点もある。

エッジボイスは外筋が最大限発動し、強烈に閉鎖され、内筋が弛緩し、伸展の要である前筋も完全に弛緩している。
そのため、エッジボイスをやりすぎると伸展と開大が死ぬ。
特に吸気でやるとその傾向が強い。

そのため、閉鎖を強めたいからと言ってエッジボイスをがむしゃらにやるのは、初期段階においてはあまりおすすめしない

外筋を鍛えるにはエッジボイスの代わりにホイッスルボイスを練習することをおすすめする。
笛のような音、ヤカンの湧いたような音である。

筆者の呼気ホイッスルボイス

ホイッスルボイスはエッジボイスと同じく外筋がかなり発動し、内筋は弛緩しているが、伸展の要である前筋はかなり発動している。
そのため、エッジボイスよりはまだ伸展と開大が死なない。

ホイッスルボイスは、喉頭位置が高めのほうが出しやすいが、少し開大させる必要があるため、喉頭位置が最大まで高いほうが出しやすいというわけではない。
ホイッスルボイスは、伸展・閉鎖・開大の3つ、どれかが欠けていると出ない。
(ただし、ホイッスルボイスにおける開大は、少し隙間をあける程度。)

そして、ホイッスルボイスもやはり開大は死ぬ傾向にある

ホイッスルボイスの出し方だが、喉を狭めるイメージや、声帯を笛に見立てて、とにかく高い音を出すように、というようにしか言えない。

エッジボイスを出しながら少し隙間を開けるイメージで出したり、裏声を出してから強烈に閉じるイメージでだしたり、アプローチ方法は色々ある。
舌を出して出してみたり、顎を引いてみたり、首周りの体勢を探っているといきなり出ることもある。

ホイッスルボイスを出すにはかなりの伸展の強さが必要なため、やはり伸展と開大のトレーニングと並行してやっていくことで成長する。

呼気でのホイッスルボイスを出すのは、かなりの伸展の強さがないと難しいが、吸気だと多少出しやすい傾向があるため、まずは吸気で出せるようになることを目標にするといいかもしれない。
(吸気でホイッスルボイスが出しやすいのは、吸気発声は呼気発声に比べて自動的に開大が強く働くためだと考えている(仮説)。)

女性は伸展が強い人が多いため、驚いたり怖がったときに咄嗟にホイッスルボイスで叫べる人が多い。

男性でも、伸展が強ければ咄嗟にホイッスルボイスを出すことができる。
この動画の男性は、咄嗟にホイッスルボイスを出している(00:54)。
普段の喋り声もかなり女性的なので、この人は男性にしては伸展がかなり強い。

この記事では、喉頭位置の高いエッジボイスやホイッスルボイスのことばかり書いたが、どちらも、喉頭位置が低くても出すことができる。
しかしそれは難しく、かなりの発声能力を必要とする。

ちなみに、地声系の筋肉である甲状披裂筋は、内筋と外筋と別れている。
そして、その甲状披裂筋という枠組みにおいて、内筋と外筋の発動は『反比例』する。
外筋が入るほどに内筋が抜け、内筋が入るほどに外筋が抜ける。

エッジボイスもホイッスルボイスも、内筋が弛緩していると書いた。
逆に言うと、エッジ音が混じった地声というのは少なからず内筋が抜けていると言える。

詳しくは以下の記事を参照。

甲状披裂筋の役割 外筋と内筋は反比例する ベルティングや張り上げの魅力と危険性 男声の出し方
甲状披裂筋は、地声系の筋肉。 地声を出す、または地声で声を張るには甲状披裂筋を発動させる必要がある。 甲状披裂筋は、内甲状披裂筋(以...

外筋の発動によって内筋の発動が低下するという作用は、内筋の入りすぎを防いだり、男性が女性的な中声で声を張るのに重要なので、『拮抗』の項目の部分にも記した。

とりあえず言えるのは、色んな喉頭位置でのエッジボイスやホイッスルボイスを出せるようになるのが重要ということ。

仮声帯(抵抗の点)を鍛える

仮声帯』という、声帯の上にあるひだを内転させることで、ノイズを鳴らすことができる。
このブログでは、そのノイズを仮声帯ノイズと呼ぶ。

仮声帯を鍛えることで、閉鎖が鍛えられる(閉鎖を促進する)のに加えて、仮声帯で息を受け止める抵抗の点が鍛えられ、呼気圧をコントロールできるようになるので、内筋の入りすぎを防ぐことができる。
つまり、呼気圧迫を軽減できる。

仮声帯も、外筋や閉鎖筋と同じく、喉頭位置を引き上げた時に最大限発動する
仮声帯ノイズはほぼあらゆる声にかけることができる。

ハミングで咳払いをすることで、仮声帯ノイズを鳴らす感覚がつかみやすい。
怒鳴った声でも鍛えられるし、がなり声やだみ声と呼ばれる声はすべて、仮声帯ノイズがかかった声のことである。

できるだけ『プリプリ』とした音色になることが理想的。

筆者の仮声帯発声サンプル 裏声

筆者の仮声帯発声サンプル 地声

仮声帯発声、仮声帯ノイズについては以下の記事にかなり詳しく書いたので参照してください。

仮声帯発声と吸気発声の方法と効果 閉鎖筋や引き上げが鍛えられ呼気圧迫を軽減できる 声の成長速度を早める 等
仮声帯発声とは、声帯の上にある仮声帯というひだを内転させて出すノイズのかかった声のこと。 その声を出すことによって、主に閉鎖筋が鍛えられる...

あらゆる声に仮声帯ノイズをかけて発声することで、仮声帯が鍛えられ、閉鎖も鍛えられる。
仮声帯は訓練によって良い意味で『肥大化』するという仮説を俺は持っていて、細かいことを考えなくても、とにかく仮声帯ノイズを鳴らしまくることが重要だと考えている。

ここでは一例として、アンザッツ5に仮声帯ノイズをかけた声を紹介する。

上述のアンザッツ5に、仮声帯ノイズをかけるだけなのだが、その際に相変わらず甲状披裂筋は入ってはいけない。
あくまでアンザッツ5に、そのまま『純粋に』仮声帯ノイズをかけるのが重要。

筆者のアンザッツ5+仮声帯ノイズ(少し内筋が入ってしまってるので真似する際は注意)

または、ポケモンのニャース(犬山イヌコさん)の声真似も、仮声帯を鍛えるのに効く。
男性で、ニャースの声真似がそっくりに、なおかつ楽に出せれば、だいぶ仮声帯が鍛えられていると判断していい。

筆者のニャースの声真似

ニャースの声は純粋なアンザッツ5+仮声帯ノイズではなく、喉頭位置も上がりきっておらず、そこそこ内筋も入っているので注意。

アンザッツ5+仮声帯ノイズにしてもニャースの真似にしても、やはり伸展が重要なので、アンザッツ6やホイッスルボイスの練習と並行して行うことをおすすめする。

また、仮声帯発声とエッジボイスを同時に発動させたようなデスボイスもあり、それも閉鎖を鍛えるのに効果がある。

吸気での仮声帯発声が効果てきめん

ここからが重要なのだが、仮声帯ノイズは吸気発声時にも鳴らすことができる
言語聴覚士のテキストには、仮声帯発声時には仮声帯は外転しているためノイズは鳴らせないというようなことが書いてあるようだが、実際は鳴らせる。

呼気での仮声帯発声と違い、誰でもすぐにできるわけではないが、訓練すれば誰でも鳴らせるようになる。

吸気の仮声帯発声は、閉鎖を鍛えるのにこれ以上ないくらいの効果を発揮するので、おすすめしたい。

俺がいつもやっているのは、
『極限上向き舌出し吸気引き上げ裏声仮声帯ノイズ最高音発声法』
というもの。

仮声帯発声と吸気発声の記事に詳しく書いたので、ここでは抜粋して紹介する。

ただ吸気仮声帯発声をするのではなく、限界まで上を向きながら、舌を出し、その舌を軽く噛みながら、背筋のような動きをしながら、吸気裏声で、仮声帯ノイズを鳴らしながら、自分が出せる限界の最高音を狙っていく。
とんでもなく高い音を出すことによって、引き上げてはいるものの、伸展も大いに鍛えられる。
(最大限の伸展は、引き下げたときだが。)

十分な伸展が無いと十分に伸展できないので、伸展が鍛えられることによって更に閉鎖が鍛えられ、一石二鳥である。

以下は俺が、普段の練習として『極限上向き舌出し吸気引き上げ仮声帯ノイズ最高音発声法』を発声したもの。
上を向くと音程が上がりきらないため、高く聞こえない部分が多いが、最高音を出そうとしている、というだけで伸展と閉鎖は鍛えられる。

以下は、俺が吸気引き上げ裏声最高音を発声したもの。
2019年6月現在では、B5が最高音。
上を向きすぎると音程が上がりきらないため、以下の音声は上を向かず普通に発声している。

初期段階では、耳管開放症などの危険性もあるため、以下の記事を参照しながら注意して行ってください。

仮声帯発声と吸気発声の方法と効果 閉鎖筋や引き上げが鍛えられ呼気圧迫を軽減できる 声の成長速度を早める 等
仮声帯発声とは、声帯の上にある仮声帯というひだを内転させて出すノイズのかかった声のこと。 その声を出すことによって、主に閉鎖筋が鍛えられる...

俺はこれまで色々と奇声を上げてきたので、吸気での仮声帯発声は最初からできたが、どうしてもできない、という場合は、無理して急いで出すことはないと思う。
だが仮声帯発声は、吸気でもやることで、呼気でも間違いなくうまくなる
例えばアンザッツ5+仮声帯ノイズがうまくなりたい場合なども、吸気でやると、呼気でもうまくなる。

『自分には全然出せないけど、逆にその声が得意な人もいる』
という声は、取り急ぎ形だけでも出せるようにしておくことをおすすめする

今出せる声の精度を上げるのもいいが、出せなかった声を少しでも出せるようになるほうが、圧倒的に全体のバランスを変えられるからだ。

あと、アンザッツ6+仮声帯ノイズについて言及しておく。

上に、アンザッツ6+仮声帯ノイズを出せる人はかなり発声能力が高いと書いた。

それは、
『仮声帯発声は喉頭位置が高いほうが発声しやすい、最大限発動する』
で、
『アンザッツ6は喉頭位置を最大限引き下げる』
そのように相反する二つなので、正確に出すのがとても難しいからだ。
引き下げが弱いと深さが足りなくなり、引き上げが弱いとプリプリした仮声帯ノイズが鳴らせない。

アンザッツ6に仮声帯ノイズをかけるのが得意な人は、引き下げと引き上げの両方がかなり強い、つまり伸展・開大と閉鎖がかなり強い、つまり発声能力がだいぶ高いと推測できる。

以下の動画は、仮声帯ノイズのかかったアンザッツ6傾向の声

ちなみに、内筋が強いかどうかは、それだけだけでは判断できない。

収縮(内筋)を鍛える

この『内筋』に関する項目をもって、各筋肉の鍛え方に関する記述は終わり。

※他の項目では『伸展』や『閉鎖』など形状の名前で呼んでいますが、収縮に関しては『内筋』と呼んでいく。

なぜ内筋の項目を最後に持ってきたかというと、ほとんどの成人男性はそのままで十分強いことが多いからだ。
もちろん、ちゃんと最大限発動する形で、純粋に出せている人は少ないので、ちゃんと訓練しなければならない

以下の、拮抗の項目でも散々書いたが、内筋は、喉の筋肉の中で最も危険性の高い筋肉なので、適切に使わないと声を失うことになる。
訓練はあくまで正しく、注意してやってください。

内筋は、喉頭位置を引き下げた時に最大限発動する
内筋の発動には、基本的には呼気の量が必要である
(訓練が進めば必要以上に呼気の量に頼らなくても発動させることができるようになってくる。)

内筋が最も強く発動した声が、『アンザッツ3a』という声だ。
アンザッツ3aは『純粋な地声』とほぼ同じ声だと思っていい。

喉頭位置を最大限引き下げ、ウオウオという感じで、野太い地声を出していく。
アンザッツ3aのまま音程を上昇していくトレーニングは、後述する『拮抗』や『チカラ』や『ベルティング』や『声量』や『良い声』において最重要だ

アンザッツ6と同じく、喉頭位置を下げきる必要があるが、それがうまく出来ない人は、アンザッツ6の項目に書いたような、顎引き、あくび喉、大口開け、舌根下げなど、首周りの体勢を色々と探りながらやってみてほしい。

また、アンザッツ3aも、吸気で発声することが可能で、吸気でやるほうが圧倒的に危険性が少ない
呼気と吸気両方でやることで圧倒的に成長速度が違うので、必ず両方でやることをおすすめする。

吸気発声は声帯に外気があたるため、ハミングでやるほうが安全だが、ハミングではどうしても喉頭位置が下がりきらないことが多い。
なので、吸気アンザッツ3aに関しては、口を開けてやったほうがいい。

ちなみに、ほとんどの女性は伸展が強いと書いたが、逆に、内筋が弱い人が多い。
つまり女性には、ドスのきいた低い声が出せない人が多い。
女性は楽に高音が出せる人が多いが、声に張りやチカラを出せない人が多い。

女性はアンザッツ3aを鍛えていくのがとても大変だが、声に張りやチカラを持たせるために最重要だ。

この記事を見ている男性で、
「今すぐ女性的な声を出したい」
「今の自分の男らしい声が嫌だ」
という人がいるかもしれない。

だが、内筋は声の『チカラ』の要なので、内筋が強いこと自体は素晴らしい
何かが『強い』ということは素晴らしい
その逆も強くし、バランスを取ることが重要

男性が女性的な声を出したいなら、内筋の逆である『伸展』を強烈に鍛えればいいのであって、内筋を弱らせよう、とするのは間違いだ。
それに、内筋が弱くなることは基本的には無い。

伸展と開大のトレーニングと同じく、内筋のトレーニングもしんどい。
基本的に、引き下げのトレーニングは引き上げのトレーニングよりしんどい。

だが、適切に続けることで、内筋を発動させる『努力性』が下がってくる
つまり、次第に楽に強い声が出せるようになってくるので、地道だが必須だ。

中性的~女性的な中声を『張る』ことの難しさ

男性はもともと内筋が女性に比べてかなり強いので、発声の際には、
『意図せず発動しすぎるもの』
になってしまうことが多い。

伸展が足りない男性が声を張ろうとすると、そもそも高音まで持ち上がらないか、一挙に内筋が入りすぎ重くなりすぎ、その後の調子が崩れる、ということも多い。

ある程度女性的な中声が出せる人ならわかると思うが、小声なら女性っぽい声を出せるが、声を力強く張ることができない、ということはないだろうか。
内筋の発動には、基本的には呼気の量が必要なので、呼気量を抑えれば(小声にすれば)、発動しすぎることを防ぐことができる

だが、それでは声を張れないし、『チカラ』も出ない。

中性的~女性的な響きを保ったまま、思いっきり声を張れる人というのは、ものすごく伸展や閉鎖が強い。

思いっきり内筋を入れても、伸展(女性的な響き)が崩れないくらい、『内筋』も『内筋以外』が強い
ということ。

俺の大好きなVIP店長はそれだ。
以下の動画の1:45や1:55では、かなり張っている。

VIP店長のような歌い方をするには、とにかく内筋に打ち勝つだけの圧倒的な伸展が必要
もちろん閉鎖や仮声帯も。

ただ、VIP店長もそうだが、声を思いっきり張れるくらいに女性的な中声がうまい人は、逆に男声が出ない・低音が出ないというパターンが多い。
または低音が男声じゃなく女性が出した少年声に聞こえる、など。

そういう人はそもそも、男性にしては内筋が弱い(収縮ができない)のだろう。
だから最大まで内筋を入れてベルティングしても男性っぽくならない、と言える。
(Disっているわけでは全くありません。VIP店長の歌声は五本の指に入るほど大好きです。)

ちなみに、男性が『少年声』を出すのも、とても難しい。
少年声は、小声な女性的中声と違って、イメージ的にも、張ることが必須となる。

『男性が女性的中声で思いっきり声を張る』
のも、
『成人男性が少年声を出す』
のも、伸展が恐ろしく強くないとできない。

『(その二つができる男性は)声帯が小さい』
という可能性は真っ先に考えるべきかもしれないが、声帯が大きくてもかなりのところまではいけると俺は思っているので、このブログでは基本的に声帯の大きさは加味しない。

さらに、上記を踏まえると、
『女性的中声や少年声でのベルティング』
と、
『男声的中声のベルティング』
の、
『両立』
となると、とんでもなく難しいということがわかる。

男性が少年声や女性的な声を出す難易度の傾向を記した記事もあるので、興味があれば読んでください。

声真似や女声の及第点をどこに設定するか 元の声から男声/少年声/女声/萌え声などを出す難易度の傾向
最近ニャースの声真似を投稿した。 女声は以前投稿していたが、既存のキャラの声真似を投稿するのは初めて。 ニャース ニャース...

ちなみに、
『高音で内筋入れまくってベルティング』
は、かっこいいしチカラ強いが、多用しすぎるとどうしても伸展が弱まる方向があり、危険度が高いのは間違いない。

ライブなどでも、その後の声が不安定になると思うので、やはり中性的~女性的な中声を持つ歌手はほとんど、高音で内筋を入れすぎることはせず、仮声帯と外筋を巻き込んで、
『ギャー!』
という方向性で張っている事が多い。

その方が長期的に見ても安全だ。

X JAPANのToshiさんやJAM Projectの福山芳樹さんがそれにあたる。
まふまふさんも、張る際に内筋を入れすぎていないように思う。

詳しくは甲状披裂筋について言及した記事を参照。

甲状披裂筋の役割 外筋と内筋は反比例する ベルティングや張り上げの魅力と危険性 男声の出し方
甲状披裂筋は、地声系の筋肉。 地声を出す、または地声で声を張るには甲状披裂筋を発動させる必要がある。 甲状披裂筋は、内甲状披裂筋(以...

地声と裏声の『融合』練習

ここからは、各筋肉を鍛え、実際に中声を発声するための『融合』練習について書く。
ただ、喉の筋肉全てがバランスよく、適切に鍛えられ、釣り合うと、普通に思いのまま歌っているだけで中声は発生する

上の方にも書いたように、一口に中声と言っても、中声にはあらゆる倍音構成がある
そのため、融合というのも一括りにすることはできないし、無数にある融合の仕方を全部ここに記すことはできない。

ただ、どういった倍音構成の中声でも(もちろん女性的中声でも)、共通の特徴はあるので、それを列挙する。
また、融合時のコツも列挙するので、それらを各自組み合わせて、自分なりに融合練習をしてみてほしい。

『本番では~』の項目にも書くが、結局のところ、自分の人格と精神状態に合致した声を出せ、ということである。

どういった倍音構成の中声でも共通して重要なこと(開鼻・閉鼻に関しては例外あり)。

  • フルボイスで歌えるかどうか。張れるかどうか。
  • アップテンポな曲を安定して歌えるかどうか。暴れられるかどうか。
  • 張り上げなくても地声のまま心地よく高音(F4以上)が出せるかどうか。
  • 開鼻(ハミング)傾向
  • 喚声点付近の裏声を強く鋭く出せるかどうか
  • 強靭で自在な仮声帯。仮声帯ノイズの発動の自在さ。その中声のまま一息で仮声帯ノイズを鳴らせるかどうか
  • 引き上げと引き下げのバランス
  • 強力な伸展・開大・閉鎖・収縮。特に超高音(C6以上)が出せる伸展。
  • (地声と裏声の)強力な拮抗

融合のコツ。
または、中声を構成する要素。

  • 開鼻(ハミング)で歌ってみる
  • ニャース、または城之内の口の形で色んな声を出して歌ってみる
  • 下向き、顎引き気味で歌ってみる
  • 野原しんのすけのような声を出してみる
  • 全てフェフェフェという歌詞で歌ってみる
  • ホイッスルボイスをブレイクせずに喚声点周辺まで下降してみる
  • 裏声にエッジボイスを混ぜてみる
  • 裏声に内筋を混ぜてみる
  • ハミングで絶叫してみる
  • 舌を出して声を出してみる
  • 息漏れ気味、または息吹き気味で出してみる
  • 裏声を下降して喚声点を押しつぶしてみる
  • 女性になりきって歌ってみる
  • 裏声で歌ってみる
  • 呼気と吸気で交互に中声っぽいバランスを探ってみる

初期段階の中声

一応、最も典型的な融合の仕方を記しておく。

中声は、初期段階では、アンザッツ1と5の間に発生しやすい
つまり、喉頭位置が高い状態、内筋よりも閉鎖が優位な状態ということ。
閉鎖、つまり喉頭位置が引き上がった状態は、喚声点でのブレイクを和らげる作用がある

アンザッツ5は裏声系アンザッツの中で最も閉鎖筋が強く、最も地声に近い裏声と言える。
アンザッツ1は地声系アンザッツの中で最も内筋の発動が弱い。

したがって、アンザッツ5とアンザッツ1は閉鎖筋が強いもの同士だから、喚声点をスムーズにまたげ、地声と裏声を繋げやすい。

具体的にどういう練習をすればいいかというと、アンザッツ5の下降
アンザッツ5を、閉鎖を保ったまま、つまり鋭さや喉頭位置の高さを保ったまま、喚声点以下まで下げていく。

おそらく男性のほとんどは喚声点付近で閉鎖が保てず、意図せず内筋が入ってきて、重くなり、喚声点で表返るはず。
裏声の操作性が低い多くの成人男性は、裏声を喚声点付近で出すのが特に苦手だ。
それは5から1に繋がっていないということなので、喚声点や低音でも閉鎖を発動させ続けることが重要

高い音程では比較的鋭く出しやすいので、高い音程(C5くらい)で鋭いアンザッツ5を出し、鋭さつまり閉鎖を保ったまま下降することで、低い音程でも閉鎖する感覚を覚えたり、裂け目を埋めていく練習になる。

アンザッツ5を鋭く出す、つまり強く閉鎖して出すには、静的に強力な伸展もいるので、とにかく限界まで高い音程を出したり、アンザッツ6も鍛えること。
その上で、喉頭位置を引き上げる筋肉もかなり鍛える必要がある。
舌を出して発声することで、喚声点付近でも閉鎖を保ちやすいかもしれない。

繰り返すが、初期段階の中声は、アンザッツ5を鋭さを保ったまま下降しアンザッツ1と繋がることで発生する。
少し内筋の入ったアンザッツ5と内筋のほとんど入っていないアンザッツ1の融合、と言ってもいいかもしれない。

ただ、それがうまくいったといって出せるようになる、初期段階の中声は、か細くてキンキンした間抜けな声なはず。
(ある程度伸展が強い人の場合は女性的な感じになる場合もある。)

声は、喉頭位置を引き上げるほどヒョロヒョロで間抜けな声になる。
また、間抜けさは、声を張ったときに顕著に出る。

なので次の段階としては、喉頭を引き下げ声を混ぜる必要がある。
それはアンザッツ6でもいいが、それだと裏声っぽ過ぎ、アンザッツ3aだと重すぎる。

なので、アンザッツ6とアンザッツ3aの中間の声がいいのだが、それは野原しんのすけっぽい声だ。

か細くて間抜けな中声と、野原しんのすけ的中声の融合が、初期段階の中声における、引き上げと引き下げの拮抗だ。

ここからは、上記の、中声に重要な要素などを見直して、各自頑張ってください。
色々倍音構成はあるが、結局は目標とする中声の音源を何度も聴いて、頭の中で再生し、似た声を出していく、というのが最も有効という考えもある。

注意点としては、融合訓練をしすぎると、地声も裏声も弱まり、つまり『端』が弱まり、声にチカラがなくなっていくので、あくまで『分離』を忘れず行ってください。

融合(混合)は勝手にしていくので分離を優先すべき
発声訓練においては、 分離(純化)・確立(強化)・融合 という工程が重要。 もう何度も書いているが、声だけでなく精神も自然界も宇宙...

筆者の中声のサンプル

以下ではサンプルとして、筆者が出せるいくつかの倍音構成の中声の音源を紹介する。

まず裏声優位の、張りにくい中声から。

張りにくい中声(裏声優位) ベビーフェイス -2 / スピッツ

裏声優位なのでテンション感が少なく、楽に出せるが、拮抗量つまりチカラが弱い。
苦しくなったりひっくり返るリスクが少ない代わり、高音になるにつれて裏声っぽくなる。

呼気量を抑えて内筋の強さを誤魔化しており、それ故に張れないので、カラオケなどではほぼ使えない、暴れられない。

上のと同じく張ったり暴れたりできないが、上のより多少地声感がある。
拮抗は足りない。

以下は冒頭にも張ったものだが、この音域(E3くらいまで)での力んだり踏ん張ったりしても崩れない声。

中性的中声

以上の裏声優位の中声は、一番下を除いて、小声によって内筋の強さを誤魔化したものなので、真似するのはおすすめできない。

以下は、地声優位の中声。

張れるが内筋がすっぽ抜けた中声 金曜夜の葛藤 アルティーに送りつけた即興替え歌 ver. / 髭林おなもみBAND

張れるし暴れられる、普段から歌っているバランスだが、A4以降くらいから内筋がすっぽ抜けてしまう。

「あの頃のアルティーとの思い”出”~」
のところはA4だが、すっぽ抜けている。

俺は14歳からギターと弾き語りを始めて色々と歌ってきたので、こういった地声寄りの中声は自然と身についた。
シリアスな曲には合わないが、こういったひょうきんな声も、表現の一つとしてはありだと思っている。

張れる中声(地声優位) 海ねこ / スピッツ

一回目の、
「”ぼ”くのとなりで」
ではA4、2回目はA#4、「く」のところが不安定でその部分は気に入っていないが、とりあえずギリギリすっぽ抜けていないとは思う。

爆裂発声法 旅の途中(サビ) -1 / エレファントカシマシ

爆裂発声法(+今の俺のハモリ) わたしの恋はホッチキス -1 / 放課後ティータイム

爆裂発声法 すっだろおおおおおおおおおおお

17歳の頃の音源。

旅の途中の、
「あし”た”に向かって~」
のところはA#4。

わたしの恋はホッチキスの、
「キラキラ」
のところははB4、
「閉じちゃ”お”ー”お”ー」
のところはC#5→B4。

『すっだろおおおおおおおおおおお』
はB4。

17歳の頃は、今よりも静的に伸展が強く、開鼻気味の地声を引っ張り上げると、あるポイントを境に声が『爆裂』した。
この爆裂発声法(と俺は呼んでいる)は、拮抗やチカラという意味でも重要だと思っている。

他に書く場所がないので少し長くなるがここに書く。

上のような爆裂発声法は、静的にアンザッツ6つまり伸展と開大が強い上で、強烈に開鼻させた重めの地声引っ張り上げて、あるポイントを境に仮声帯と外筋を巻き込んでノイズで爆裂する。

爆裂していないクリーンの部分でも、静的に爆裂を控えてるからこそのチカラを感じる。
強力な引き下げ(伸展・開大)があった上で、内筋+強力な引き上げ(仮声帯、外筋、閉鎖筋)のノイズで爆裂させる

引き上げと引き下げ、どちらか片方が強いだけじゃできない。
以下の三点へと同じ。
これも17歳の頃の音源。

音量注意 三点ヘ(F6)

俺の最近の音源にチカラが足りないのは、17歳の頃より伸展が弱く、拮抗も弱く、17歳のときのように爆裂できないからだ。
同じ音域を歌っても、静的に爆裂を控えているとチカラ強さが違う。
(控えている、というのはネガティブな意味じゃなく、エネルギーが充満している、爆裂寸前、というような意味。)

『爆裂できない』と『爆裂できるけどさせない』は違う

「この声下手したら変なとこでひっくり返るんじゃないの?」
というくらい詰めてる声ほどチカラがある。

もちろん表面上そう聞かせてるだけで本人的には楽、省エネ、というのが理想だ。
ただし、表面上も省エネな安確発声法にチカラは無い

ライブなどではペース配分を考えて、省エネにする必要もあるが、常に省エネでは『本気』を出す感覚が喪失するので注意すべきだ。
(そうなってしまったのが、20歳以降の俺なので、挽回したい。)

以上の音源を聴いてもらったらわかると思うが、俺はまだまだ理想の声には遠い。
訓練を続ける。

地声と裏声の『拮抗』こそ、声が持つ『チカラ』である。

上に散々『拮抗』や『チカラ』という言葉が登場したが、それについて詳しく解説する。

まず、声は、
強烈な裏声(伸展)
と、
強烈な地声(収縮)
が、
拮抗
した時、つまり、
強烈な裏声(伸展)
がある状態で、それに対して
強烈な地声(収縮)
を入れれば入れるほど、
チカラ(エネルギー)
が発生するという法則がある。

物理法則や自然界の法則と同じで、物質は高いところから低いところに移動したときに、エネルギー(位置エネルギー)すなわちチカラが発生する。
(声の場合、裏声が『高いところ』なら、地声が『低いところ』。)

地声と裏声の、
振れ幅
つまり、
端(裏声)
と、
端(地声)
の広さが重要とも言える。

地声と裏声、どちらも強烈に強くても、繋がらないと意味がないので、端と端をつなぐ、
中間
ももちろん重要。

『女性ソプラノ歌手並の伸展』
と、
『オッサン並の収縮』
を持ち、なおかつ、
『その中間を”思いっきり”発動させることができる』
という状態が、最もチカラがあると言える。

ただ、
拮抗量
が重要なので、あまり伸展が強くない男性でも、さらに内筋だけ鍛えて、
今ある伸展の限界まで内筋を入れられるようにする
のも、危険ではあるものの拮抗量は増えるから、チカラは強くなる。

逆に、かなり伸展が強い女性でも、あまりにも収縮できない(内筋が弱い)と拮抗量は低く、チカラは弱い

伸展がかなり強ければ、そこまで内筋を入れまくらないでも、チカラ強い美声になるとも言える。

伸展→収縮の幅、つまり拮抗量が大事。

繰り返すが、最も拮抗量が高い、つまり、最もチカラが発生するのは、
めっちゃ伸展してる人がめっちゃ収縮させること
である。

プロ歌手(特にベルター)はチカラ強い歌声を持った人が多いが、その中でも特にチカラ強い人を挙げるなら、3大テノールのルチアーノ・パヴァロッティ。
良い声であり、美声でもあり、最高に力強い。

そして、チカラのない声、つまり『キモ声』を生む要因も、突き詰めると、
『拮抗の弱さ』
ということに尽きる。

拮抗すればチカラが出る。
逆に言うと、拮抗を放棄すればどんどん声にチカラがなくなっていき、キモ声になっていくということ。

「声を楽に出したい」
と思ったら、
『拮抗を放棄する』
のでは決してなく、各筋肉の、
『発動の努力性を下げる』
こと。

この違いが大きい。
すべての発声訓練は、各筋肉を鍛えるのに加え、その筋肉の『発動の努力性』を下げるためにある

パス度と喚声点と『チカラ』について

俺は、『パス度』という言葉が嫌いだ。
結局のところ、各筋肉が正しく鍛えられ、声帯がぴっちりと閉じられるようになり、喚声点付近も自由になり、声量も素早さも出せるようになったとき、声は、パス度云々じゃなく『美声』になるからだ。

そして、
美声に性別は関係がない
と俺は思う。

男が出してようが女が出してようが、美声で魅力的ならどうでもいい事だ。

声真似や女声の及第点をどこに設定するか 元の声から男声/少年声/女声/萌え声などを出す難易度の傾向
最近ニャースの声真似を投稿した。 女声は以前投稿していたが、既存のキャラの声真似を投稿するのは初めて。 ニャース ニャース...

美声や良い声に性別は関係がないし、『チカラ』を感じる声に性別は関係がない
異性の声を出す際に重要なのは『パス度』ではなく『チカラ』すなわち『拮抗』である。

後述するが、女声練習者に多いが、喚声点より高い音高を出してばかりで喚声点をまたぐことを頑なに避けているような人間は、喚声点から逃げている

また、声を張らずに(張れずに)、小声でばかり歌う人間も喚声点から逃げている。
呼気を抑えることで内筋を誤魔化して喚声点から逃げている
呼気を抑えると、拮抗量は必然的に下がり、声にチカラがなくなる

かといって、呼気圧迫、つまり張り上げることしかできない人間も、喚声点から逃げている。
地声を力任せに持ち上げることで、喚声点を無理やり超えるのも、やはり誤魔化しであり、喚声点から逃げている
そういう人は柔らかく、優しく歌うことができず、常に大声だ。

どういった地声と裏声のバランスにしろ、どういった方法にしろ、喚声点から逃げると声にチカラがなくなる
(張り上げるほうがまだチカラはあるが、伸展が足りていない場合は、ひたすら苦しそうな印象を与えることになる。)

まず自分の喚声点を抱きしめることから、声が始まる。

『使える範囲』が狭い声には『チカラ』がない

アニメ声的女声しか出せない人間に多いが、パス度に執心している人間は、喚声点よりだいぶ上の高い声を出してばかりだったり、やたらと小声だったり、喚声点から逃げている人間が多い。
喚声点から逃げていると、ぴっちりと閉じた声、素早く明瞭な声、声量のある声、拮抗の強い声、つまり『チカラのある声』は永遠に手に入らない。

アニメ声的女声のパス度が高い男性はそこそこ居る気がするが、そういう人は喚声点よりだいぶ上で喋ってるからわかりづらいが喚声点をまたぐのがとても苦手なはずだ。
そういう人たちは、裏声が地声とつながらず、喚声点付近で気を抜くと地声にひっくり返る。
女声でも、アニメ声的でなく、一般女性的な声の場合、音高は喚声点付近になってくるのでむしろ技術がいる。

そういう人は、喋りはまだしも、歌ではパス度が下がり、しかも、喚声点付近まで下がると声がモワモワカシュカシュと表返りそうになり喚声点を押し潰すような妙な感じになることが多い。

そういう状態では、男性曲や低めの女性ボーカルなど喚声点をまたぐ曲が歌いづらいのはもちろん、声量も小さく、声を張れず、カラオケやライブハウスや路上ライブなどはできない

特に、『シルビア(Janne Da Arc)』とか『シュガーソングとビターステップ(UNISON SQUARE GARDEN)』とか、アップテンポ+喚声点付近が連続するような曲はとても歌えない。
そういう人たちは、喚声点から逃げるためにキーを3つや4つ上げて歌う事が多いが、それも、カラオケやライブハウスなどの、声を張らないといけない環境では通用しないはずだ。
弾き語りで暴れることもできないだろうし、ミュージカルや舞台などで動き回って歌うこともできないだろう。

そういった、地声から逃げている・喚声点から逃げている、張れない声、つまり、家でしか出せないような『使える範囲』が狭い声は、必然的に『チカラがない』

そういう人たちは、歌うことより小声で斎藤さんでオッチャンを釣ったり、えっちな台詞を言いたいだけという事が多いとすると、喚声点のことはどうでもいいのかもしれない。

そう考えると、
『どう聴いても女性の声だけど、ライブハウスや路上で弾き語りで張りまくれるような歌声(VIP店長さん等)を持つ男性』
の声を
『女声』
と呼ぶのは失礼にあたる気がする。

『女声』
という言葉には、パス度を上げることに執心し地声から逃げている・喚声点から逃げているようなイメージがついている。
だからこのブログでは『女性的・中性的な中声』と呼んでいる。

男性が発声する女声に限らず、実際の女性の声も、内筋が弱く、声を張れない場合が多い。
それだとどうしても拮抗の絶対量が低くなってしまい、声にチカラがなくなる。

少し前まで女性の歌声なら大体なんでも好きだったが、最近は男に比べて『チカラ』を感じない事が多く物足りなく感じる。
ただそれ故に押し付けがましさもなくなる気がするので、そういう気分の時は女性の歌声もいいが。

俺は、
『男性は内筋が強いから良い声なのは当たり前』
『女性は前筋が強いから高音が出しやすいのは当たり前』
でつまらないと思っていて、だから
『男性の美声』
が聴きたい、
『女性の良い声』
が聴きたいのかもしれない。

このブログが、世にあふれる、
『ネットで男を釣って遊ぶことにしか使えないようなチカラのない女声』
じゃなく、
『張りがあり、チカラのある、自在で美声な、女性的な声』
を出したい人の役に立てばいいなと思う。

男だろうが女だろうが、男性的な声だろうが女性的な声だろうが、大事なのは、地声と裏声の、
『拮抗』
であり、声が持つ、声が放つ、
『チカラ』
である。

拮抗させすぎる(内筋を入れすぎる)ことの危険性

究極の拮抗とは、つまりベルティングだ。

上述したように、さほど伸展が強くなくても、極限まで内筋を入れれば、チカラのある声にはなる。
だが、伸展が十分に強くない状態で、極限まで内筋を入れて、チカラを出そうとするのは、危険度が高い

ただでさえ強くない伸展がさらに減り、高音が満足に出せなくなってくる。
最後には、内筋を入れることすらできなくなってくる。
内筋によって声帯が分厚く擦れ合わさるのは、ポリープや声帯結節の原因にもなる。

例えば、マリオ・デル=モナコは良い声だしチカラもあるが、伸展がそこまで強くない状態で極限まで内筋を入れている。

内筋は、喉頭位置を引き下げたときに最大限発動する。
仮声帯や外筋など、内筋の入りすぎを防ぐノイズ系は喉頭位置を引き上げたときに最大限発動する。
デルモナコは喉頭位置を引き下げ、最大限に内筋を入れており、ノイズは全く鳴っていない。
だから危険だ。

ノイズが鳴っている声は、一般的には喉の悪いと思われがちだが、むしろ安全である。
何度も書くように、仮声帯は呼気を受け止め、内筋の入り過ぎを防ぎ、外筋は閉鎖を促進し、が内筋の入りすぎを防いでくれる。

「喉を上げて声を出すと声枯れちゃいますからね」
みたいな情報が多いが、喉頭位置を引き下げてバリバリと地声を出すほうがよっぽど危ない。

デルモナコのように、伸展がそこまで強くない状態で、喉頭位置を引き下げ、最大限内筋を入れると、拮抗は強まり、良い声でチカラもあるものの、伸展がみるみるうちに死んでいき、早い段階で声を失う。

デルモナコに限らず、
『引き下げてバリバリ内筋入れて張っていく』
というような歌い方の歌手はみんな声を失っている傾向にある。

逆に、X JAPANのToshiさんやJAM Projectの福山芳樹さんのように、喉頭位置を引き上げ、ノイズ混じりに声を張る人は、50歳過ぎてもほとんど声が変わっていない。
エアロスミスのスティーブン・タイラーも、かなり内筋を入れて声を張るが、喉頭を引き上げながら、ノイズを入れながら張るから、安全度は高い。

内筋は、ベルティングの要であり、美声にも良い声にも必須、つまり拮抗の材料として必須だが、危険度も高い。
チカラのある声にはリスクがある

ただ、こういったメカニズムを理解し、毎日適切に伸展を鍛えていれば、声の寿命はかなり長く維持できるはず。

すべての伸展は消耗品である。
すべての内筋は必要悪である。

本番ではただ『心のまま』歌え!

ここまで長々と、喉の各筋肉の鍛え方や、拮抗やチカラについて書いてきた。

結局のところ、喉の筋肉を鍛え、自由に歌えるようになる目的は、
本番で自由に歌えるようになること
に尽きる。

本番をリアルに想像せずに、歌の練習をしていても効果は薄い

歌唱の練習についてだが、このブログはあくまで『歌唱訓練』ではなく『発声訓練』を扱っているので、各ジャンルに則した上手な歌い方を教えることはできない。
地声と裏声のバランスを整え、発声能力を向上させるための情報しか書いていない。

だが、俺の経験から確実に言えるのは、
本番では、ただ”心のまま”歌え
ということだ。

そして、
自分の人格と精神状態に合致した声を出せ
ということ。

この二つが抜け落ちているなら、どんな発声訓練も意味をなさない

以下に詳しく書いていく。

『衝動』を殺すな

正直なところ、
「発声訓練なんてめんどくせえ!今すぐ歌いてえ!ライブしてえ!曲作りてえ!」
という人は、発声訓練なんてやる必要はないし(そういう人は、そもそもここまで読んでいないと思うが)、そういった思いがあることは何よりも素晴らしいと思う。

衝動』があるからだ。

『衝動』こそ、声において、歌において、音楽において、すべてにおいて重要なことだ。

現時点で発声能力が低かろうが、それを他人にバカにされようが、気にする必要はない。

言われるまでもないことだと思うが、今歌いたいなら今すぐ歌うべきだ。
今曲を作りたいなら今すぐ作るべきだし、今ライブをやりたいなら今すぐやるべきだ。

発声訓練の最中は、色々と難しいことを考えたりする人もいるだろうが、本番では、その小難しいことすべてを捨て去り、ただ自由に心のまま歌うことが最重要だ。

発声訓練が個性を殺して、自由に歌えなくなるパターン
というのがある。

つまり、
発声訓練が負の要因として働くパターン
だ。

それはつまり、なまじ声の知識をつけてしまったがゆえに、あれこれ細かいことを気にするようになり、衝動を殺してしまい、本番で心のまま歌えない、それどころか、本番というものを避けるというケースすらある

「絵がうまくなりたい」
と言って『絵の練習』と称してポーズマニアックスや人体デッサンをA4用紙に描き続けるのを何年もやり続けて一向に作品を描かない人間のようになってはいけない。

そういう人間は『衝動』が死にきっている。

『衝動』
の法則については長くなるので割愛するが、俺の経験上確実に言えるのは、
俯瞰や分析や反省や後悔が衝動を殺す
ということだ。

発声訓練時はどうしても人の声を分析したり、俯瞰で見ることが必要になる。
そのくせがつくと、衝動は確実に殺されていく。

俺は、発声訓練実践者に、バンドや作詞作曲をやっている人間があまりに少ないことから、
『発声訓練と衝動の両立』
は難しいのではないかとすら思い始めた。

それでも、少しでも自分に衝動に至る因子があるなら、発声訓練に縛られず、何か今すぐ声を使った活動をしてみてほしいと思う。

少し俺自身の話をすると、俺自身も衝動が死んでいった人間だった。
17歳の頃は発声訓練も何もやらずとも、三点ヘでの絶叫やあらゆる奇声や暴れが出来た。
次第に、人生的に俯瞰や分析を強くせざるを得なくなり、ブログを始め、頭で考えることに固着していき、衝動が死んでいった。

昔から中性的な中声を出したくて、そればっかりは衝動ではどうにもならなかったので、発声訓練を始め、まず頭で理解することから始めていった。
結果、正しい知識は身についたもののさらに衝動が死に、上の音源のような内筋誤魔化しの歌唱になっていった。
だが今、『衝動』や『暴れ』こそ重要だと気づいたので、今後は発声訓練と並行して、衝動や暴れも重視していこうと思っている。

『必然性』さえあればいい

発声訓練では色んな声を出すことが必要になり、中には奇声だけじゃなく、人前で使えるような七色の声が手に入ることもあるかもしれない。
だが、色んな声を出せるようになっても、自分の人格と精神性に則してない声は結局使い物にならない、と俺は考える。
そんな声はただの下手の横好きでしかない。

本番で、心のままに歌う時に、自然といろいろな声が出るならいいが、自分にはこの声一つ(一つの声質)しかない、という人間は、当たり前だが無理に複数の声を両立させる必要なんて無い

個人的な話になるが、俺自身は自分のことを、ギターを掻きむしって暴れてなんぼだと思っている。
ギターを掻きむしって暴れる、その状況と精神状態で出せる声こそが『必然性』があり、『使える声』だ。

音量注意
ぴゅあぴゅあはーと -4 / 放課後ティータイム

このくらい暴れて、ところどころ掛け声とかを入れる必要があると、あれこれ小難しいことを考えている余裕なんかない。
ただ今の状況と精神状態に身を任せ、できることをやりきるということに尽きる。
おそらく変性意識状態というものとも関係する。
ただこれは別に珍しいことでも何でもなく、ロックバンドのライブなんかすべてそうだ。

そして上述した、内筋を抑えて喚声点から逃げる歌唱などは、こういった状況ではとてもできない。
完全に個人的な価値観だが、小声よりは大声のほうがいいと思うし、大声のほうが本質的だ。

小声では、暴れられないからだ。
暴れられない声には意味がない。

俺の好きな中川晃教さんの、コンサートでピアノ弾き語りも、極まっている。
何かを誤魔化している人間に、これほどの歌唱ができるだろうか?

ただ、もっと言うと、内筋がすっぽ抜けてようが、チカラが弱かろうが、美声じゃなかろうが、特定のジャンル、曲調しか歌えなかろうがどうでもいいとも思う。
自分自身がその歌を歌うことに、自分自身がその声を出すことに、『必然性』があれば、それだけで素晴らしい
矛盾するようにも聞こえるかも知れないが、小声だったり、何かを誤魔化していることさえ、そこに必然性があると感じるなら、それでいいと思う。

必然性とは何かと言われると難しいが、一つ言えるのは『自分の人生に嘘がない』ということだ。

詳しくは以下の記事に書いたので興味がある人は読んでください。

音楽や歌唱の好みは10代の頃の原体験が全て 必要なのは歌唱力ではなく必然性
これまでこのブログに色々と発声訓練の記事を書いてきて、相変わらず理想の声(俺の場合は、中性的な中声)を出すべく発声訓練を続けている。 だが...

発声訓練をすることさえも必然性があると言えるし、喉の筋肉が鍛えられていけば、本番での歌唱も当然良いものになっていくだろう。
発声訓練を実践していても、衝動を忘れず、あくまで本番では心のままに、嘘なく、出し切る、というのがベストだ。

発声の指導者について

巷の発声訓練や発声指導者についていろいろと思うことはあるが、まず言えるのは平均的なオッチャンが、松田聖子のような声を出せるようになるレベルのことを包摂していない発声訓練には意味がないということ。

男が女性的な声を出すには、喉の筋肉(主に伸展)をとてつもなく鍛えなければならない。

男が女の声を出すことを想定すると、巷にあふれる、
『腹式呼吸でさえできれば地声のまま高音が出せる』
『声を鼻に響かせれば地声のまま高音が出せる』
『声を遠くに飛ばすイメージをすれば地声のまま高音が出せる』
などのメソッドがいかに役に立たないかわかる。

ただ、『女声の出し方』で調べても、
『とにかく喉仏を上げて』
『喉を締めて』
『ウィスパーボイスで、息漏れで』
などの、漠然とした情報しか出てこないのが現状だ。

ただ、鼻腔共鳴とか声道の大きさ(?)とか骨格とかの話は完全に不要というわけじゃなくあくまで『ミクロ』な話で、ある程度地声・裏声・中声が自在になった上で、超細かい音色とかニュアンスとか歌唱力を追求するときには必要だ。
とにかく最初は地声と裏声のバランスをなんとかすることが重要、ということ。

最初から、地声と裏声のバランスを変えることを差し置いて、
呼吸や姿勢が云々
声を飛ばす
鼻に響かせる
などのミクロなアプローチにいってしまう人(巷の発声訓練全般)は、自分の今の声(のバランス)に相当満足している人だろう。

例えばMtFの人だったり、女性的な声を出したい人は、現状の声と理想の声がかけ離れすぎてるから、呼吸や姿勢や共鳴などミクロなアプローチをしてもどうにもならない、優先すべきはそういうところじゃないとわかる。
そういう人は地声と裏声のバランスをなんとかするのが最優先なので、巷の発声訓練では対応できない。

巷の発声訓練も、現状の声にある程度満足してる人がミクロ的な指導を受けて声が少し変わって、それで生徒も指導者も満足、というなら何も問題ない。
ただ、別人レベルに声を変えるには全然足りない

絵でもなんでもそうだが、他人がなんと言おうが本人が理想とする表現ができればそれで良い。
『及第点』をどこに設定するかで全てが決まる。

平均的な内筋を持つ男性が、後天的に(20歳を過ぎてから)、VIP店長さん、まふまふさん、相宮零さんくらいの美声で自在度の高い女性的な中声を出せるようになり、発声指導者になったケースはないのだろうか。
また、平均的な内筋を持つ男性で、中川晃教さんやyasuさんのような美声な中声が出せるようになり、発声指導者になったケースはないのだろうか。
俺は基本的に、そのくらいのレベルの指導者にしか教わりたくないと思う。

俺はオーソドックスな地道な発声訓練が抜け落ちてる、指導者をつけたほうがいいと言われるが、そのおかげで吸気仮声帯発声などのAvant-gardeかつ超効く方法にたどり着けた部分もある。
もし指導者をつけて思考停止してたらたどり着けなかった。
指導者つけても思考停止しなければいい話だが。

独学は危険だが、情報の取捨選択や、自分の耳に自信がある人は、やってみてもいいと思う。
下手な指導者に習うよりはよっぽど良いはず。

ちなみに独学の際は、できる限り、発声訓練を実践する他の人と情報交換をすることをおすすめする。
この記事も、周りとの情報交換なしでは絶対に書けなかった。

まとめ

この記事では、デスボイスなどは扱っていない。
発声能力の高い歌手でも、ジャンル外の場合、デスボイスは発声できないという人は多い。

おそらくデスボイスも、中声の発声に重要な部分はあるだろうし、何よりデスボイスが発声できないと全く歌えない、全く様にならない曲がある。
だが筆者である俺自身は取り急ぎデスボイスを必要としていないので、デスボイスに関する知識はないし、情報は提供できない。

また、冒頭にも書いたがこの記事では周波数やフォルマントによる検証も行っていない。
カラオケの採点にしてもそうだが、俺は、細かな『数字』よりも、ただ耳でその声を聴いて心が動くかどうかが大事だと考える。
(実際は、検証が面倒という理由も大きい。)

自分自身が中声が出せるようになるために、情報を集め、人と話し、この記事に自分なりに整理してまとめたが、それだけでもだいぶ時間がかかった。
声の世界は果てしなく奥が深い。

フォルマント、周波数、デスボイス、共鳴、母音、子音などはミクロ視点すぎるので気が向いたら探求する。

冒頭には書かなかったが、この記事は主に、
頭で考えて納得しないと動けない人
向けに書いている。

俺自身がそれだからだ。

残酷かもしれないが、本当に『才能』や『センス』がある人間は、発声訓練の指導など受けなくても、心のままに歌っているうちに、自由な発声を手に入れたりする
だが、最初は頭で考えて、筋肉を勉強して、というとっかかりでも、徐々に自由に声が出るようになってきたら、心のまま歌いまくって急成長、ということもあるかもしれない。

とにかく、本当に切実に、理想の声を出せるようになり、心のままに、自由に歌いたいなら、どんな方法でも使え、ということだ。

この記事が、『切実に』理想の声を出したい人や、発声難民の役に立てば幸いです。
そして俺自身も、もっと自由に暴れて歌えるようになるために、今後も発声訓練を続けていきます。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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特に発声訓練に関する記事の内容は、安易に実践すると危険な場合がありますので、自己責任でお願いします。

筆者である髭林おなもみや、記事内容について気になることがあったらお気軽にご連絡ください。
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