発声訓練を実践する際の基本的な考え方

この記事では、俺自身が独学で発声訓練を実践するにあたって基本スタイルや、考え方などの注意事項を記します。

声の可能性

・すべての人間(男性、女性、子供、大人、老人)は、病気などではない限り、古今東西のあらゆる声を出せる喉(声帯)を潜在的に持っている。
ただ、実際に自由自在にあらゆる声とあらゆる筋肉を発動させられるようになるには、正しい訓練法と期間が必要。

・声が表面上(動的・顕在的)変わりだすのも、静的・潜在的に変わりだすのも、何ヶ月~何年という時間がかかる。
(場合によっては6年程度かかることも。)
よって『ミックスボイスのコツ』などは基本的には効果がない。

・自分や他者に限らず、声を聴いてあらゆる判断をする際に、美観(好み)を介入させない。
気持ち悪い声、聴きよくない声にも、自由自在な声を出すのに重要な要素がある事が多い。
だが、自分が主にどんな声を出したいか考える時、または、好きな声や歌手について語るときなどには当然介入させてよい。

・耳と声のレベルはある程度連動しているので、自分がまがりなりにも真似できない声についての分析は誤っていることがある。
喉を育てるのはもちろん、声を正確に聞き取れる耳を育てること。

・声とはその人の人格(または美観・好み)そのもの。

・美観や好みを排除し、できるだけ世界中のあらゆる歌手の声や動物の声を聴くこと。
知っている声のサンプルは多いほうがいい。

・本来的には、”良い”発声も”悪い”発声も無い。
便宜上それらを定義するなら、”良い”は自在度が高いということ、”悪い”は自在度が低いということ。
加えて、長期的に続けると音声障害などを引き起こすものも”悪い”発声とする
だが、その”悪い”発声が人々に何らかの影響を与える場合もある。

・他人と、声の話をする際の大前提は、どんな声を出したいかという目的意識(目標)。
誰かとお互いの声について話す時、まず大前提としてどんな声が出したいのかという目的(取り急ぎでも、遠い未来でもいい)がないと、現状何が足りなくて何が多すぎるのかということも言えない。
これは声の話に限ったことではなく、相談のようなものにおいてはすべてそうです。

・声がその人の人格、精神状態そのものだとすると、自由自在にあらゆる声を出すには、あらゆるの物真似等もできる必要がある。
だがそれは極端な例であり、取り急ぎ出したい声(美観的・好みによって設定した目標)に応じて、そのあらゆる声の中からいくつかを選んで良い。
でないと、まずなにをする、が決められない。

・喉の筋肉の名前を覚えることや意識することに縛られすぎないこと。

・正しい訓練法でも、独学で行うのは近代的発声訓練法は危険と同じくらい危険。
独学で上達していくのはよっぽどの才能を持っているか、あらゆる声を正確に聴き取れる耳を育てない限り、高い確率で混乱・迷走を生む。
どうしても独学でやる場合は、他の実践者などとコミュニケーションをとったりして軌道修正すること。

近代的発声訓練法の幻想と危険性

・声のレジスターは地声と裏声の2つしかない。
つまり二声区
チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイス、スーパーヘッドボイス、ミックスボイスのような、三声区の概念は幻想
また、それら三声区にまつわる言葉は個々人によって微妙または大幅に違い、他人に伝える際に混乱を生む。
なので、それら三声区にまつわる言葉を再定義することも、当然しない。

・『ミックスボイスのコツ』という言葉があるが、コツとかそういうのを実践して曲がりにも中声が出る人は、元々伸展が強く、閉鎖等も出来る人。
そうじゃない人間はいくら『ミックスボイスのコツ』を実践してもうまくいかず苦しむだけの可能性が高く、危険性も高い。

・腹式呼吸を始めとした、呼吸法は、基本的には声に関係ないので、言及しない。

・鼻腔共鳴を始めとした、あらゆる共鳴に関する意識や知識も、基本的には役に立たないので言及しない。

・声を(いずれかの方向に)当てる・飛ばす・響かせるという意識やイメージも、基本的には役に立たないので言及しない。

・誰の声も多くの可能性を持っているので、
「自分の声に合った歌を歌いましょう」
などのアドバイスは基本的には無視すべき。

声の基本原則

・声帯というのは、弱い二つのヒダ。
発声訓練を続けても、声帯そのものが強くなることはない。
声帯周りの筋肉(内喉頭筋群)や外喉頭筋群は使えば使うほど強くなったりコントール出来るようになっていく。
発声訓練の目的は、声帯周りの筋肉を強くし、コントロールできるようにすること。

・リラックスは必要なところに力が入って初めてできる。
完全にリラックスすると声は出ない。
リラックスは、必要のない筋肉の発動を弱める、混合している筋肉、停止させるという意味で捉えることもある。

・中間(中声)に居続けることは自在性ではない。
極端な端(伸展~収縮、開大~閉鎖)が重要。
極端な端のない中間は弱い。

・強いところを弱いところに合わせるのではなく、弱いところを強いところに合わせること(鍛えていくこと)。
前者をしてしまうと、声量が落ちたり、声が張りづらくなる。抑えてしまう。
※例:
×地声が強くて裏声が弱いから、地声を弱めよう。
○地声が強くて裏声が弱いから、裏声を地声と同じくらい強めよう。

・首の筋肉(例えば胸鎖乳突筋)に力を入れることは無駄。
首に力が入ることで耳管が閉じ、内的聴感が鈍りピッチが取りづらくなったりすもする(半音の半音ずれたりなど)。

・一つの声を真似する際には、その声で最も顕在化している部分(強く発動している筋肉)を聴き、次に、その声を構成する他の筋肉や要素を聴いて、構成する要素を一つずつを単体で練習し(分離)、最後に同時発動(融合)してみるのも有効。

・声帯は十分に伸展させないと、閉鎖筋で十分に閉鎖できない。

・閉鎖筋で十分に閉鎖できていないのに強く声を出そうとすると、内筋(収縮)の副効果による閉鎖に頼ろうとして、呼気圧迫になって声が意図せず重くなり苦しくなったりする。
つまり、閉鎖筋と内筋の混合。

・閉鎖筋と内筋はかなり混合しやすいので注意する。

・地声(内筋、収縮)は固着しやすいので、裏声からやる。
裏声を優先的にやる。

筆者について

筆者は、特定のボイストレーナーの指導をスカイプまたは教室にて実際に受けた経験はありません。
すべて独学であり、本を読む、人と話をする、などによって得た情報を紡ぎ合わせています。

二声区の考え方や、アンザッツ(7つの声)や、『地声と裏声とその中間と、それらを包摂するもの』という概念は、仏教における三観や、この世のあらゆる『端~中間~端と、それらを包摂するもの』に通じるところが面白くて好きです。

まとめ

このブログでは、どうやっても裏声が出ない男性や、どれだけ絶叫してもG4も出ない男性や、どうやっても仮声帯ノイズが鳴らせない女性など、あまりに不自由な人のことは考慮していません。

俺の声のバランス、好み、美観、目標に最適化されています。
自分と似たバランスや美観の人に役立てばいいというスタンスなので、今後も自分のバランスや美観に基づいて探求し、書いていきます。

本気でプロ歌手を目指している人や、ベルティング、重い声、男らしい声を出したい方には役立ちづらい内容が多いと思いますのでご了承ください。


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このブログの記事は、一学習者・一素人の気付きとして書かれたものです。
特に発声訓練に関する記事の内容は、安易に実践すると危険な場合がありますので、自己責任でお願いします。

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