すべての男は消耗品である。VOL.4 1992年10月~1995年8月 不況とオウム 著者:村上龍 書評、レビュー(感想)

VOL.3に続き、『すべての男は消耗品である。VOL.4 1992年10月~1995年8月 不況とオウム』を読んだ。

オウム事件があった頃のエッセイだが、オウムに関して詳しく語られているのは最後の方だけだった。
読むのに間が空いて忘れた部分が多いので、印象に残った部分の抜粋をメインに紹介する。

個人的な評価は★★★★☆

やりたいことをやる

私達は、どんな場合にでも、とりあえず生きのびていこうとする。
極端なことを言うと、自殺するような時でも、生きのびようとしているケースさえある。

生きのびるためには、衣食住の他に、何かが必要で、その何かが、具体的には、恋愛だったり、自動車レースだったり、お金だったり、変態的なセックスだったり、表現だったり、あるいは犯罪だったりする。

そして、生きのびるために必要な何かと付き合うのは非常に疲れるので、疲れをいやす何かも常に必要となる。

その二種類の何かが、その人の生き方を決定する。

傷をいやす、というのは、あまりにも自然でそれとは気付かない「依存」だと思う。
傷がいえるわけではない。
傷のことを考えないで、時間が過ぎていくだけだ。
実は、そこに、日本的な共同体の本質があるように最近思えてきた。

共同体は、生きのびていくための何かを与えてくれることはない。
共同体によって勇気を得る人間なんかどこにもいない。
ただ、共同体は、「傷をいやす」ように見せて、時間だけをやり過ごすのである。

しかし、今言ってきたようなことでも、男と女では少し違うような気がする。
女は、つまり母性というものは、休息と深い関係があるような気もする。

母性(それ自体が幻想かも知れないが)のことを考えるのは止める。
そんなもの、私にはわからない。

ラモスに見られる、自分を追い詰める、というやり方は、自分を追い詰めていく対象を好きでなければ成立しない。
ラモスがサッカーを好きではなかったら、それはただの苦行になってしまう。

好きなこと、自分にとっての最優先事項、それがなくなると自分が崩壊してしまうようなもの、まずそれがなくてはならないのだが、そんなことが、長いものに巻かれるのが良いとされているところで手に入るだろうか?

『やりたいことをやる』ということの必要性を考えさせれた。
俺も最近特に、自分が責任を持ってやり通せる『仕事』が必要だと考えている。

男の場合、仕事の休息として恋愛、女性と触れ合いがあるような気がするが、女の場合はどうなるんだろう。
男は母性に癒やされるが、女は父性に癒やされるということはあまりきかない。

そこが一対になっていないところが男の生きづらさなんじゃないかと思う。

彼女の小説によく出てくる、心優しくて理解のある男、実はそんなものはどこにもいない。
そういう男の幻影でさえこの世には太古の昔から存在しない。
消耗品である男は、昔も今も、残酷で、嘘つきで、何とかして攻撃本能を獲得しようとしている、要するにただの欲深いスケベなのだ。

安確いじり

「長いもの」は外部としての敵を持つことがないから(前の戦争中はとりあえず持っていた。ただし、自己投影としての敵だった)その内部にいけにえを作り出す。
内部の結束を崩さないためには、内部の敵やいけにえやみせしめが必要なのである。

そうやって例えば被差別部落が作り出され、村八分があり、非国民という言葉ができて、子供達はその真似をしてイジメという制度を確立し、連合赤軍のリンチのようなことが必然的に起きる。

『安確いじり』のことだと思った。

その他

今のこの国にある不自然で理不尽な状況に、子供達や若い連中は、何とか「適応」しようとして、病理をさらけ出す。
それは犯罪や非行という極端な形をとることもあるが、この国の共同体は自浄作用を持っているので、それらを特殊な事柄として片付けようとする。

歌舞伎も能も狂言も雅楽も、オレに何も与えていない。
元気づけたりしてくれなかった。

自分に何も与えてくれないものはどうでもいいというスタンスは見てて気持ちが良かった。

内部調整。
歴史上の偉人がやったことはそれだけなのだ。

宮本武蔵や坂本龍馬が、いったいどれほどのことをやったというのか?
剣を振り回したり、誰かと誰かの調停役になっただけだ。

二人とも日本語しか話さなかったし、本当の意味での文化的なアレンジも、翻訳も必要としなかった。
二人とも、今生きていたとしても、帰国子女の相談にも乗ることはできないのだ。

『剣を振り回したり』
あまりにもこき下ろしててワロタ

まとめ

今回も面白くて一気に読んだ。

ブックオフで村上龍氏の『限りなく透明に近いブルー』と『誰にでも出来る恋愛』を買ったので、VOL.5の前にそっちを読もうと思う。

あと広告収入の作業に集中しているので、読書できない日が続きそう。


すべての男は消耗品である。VOL.4 1992年10月~1995年8月 不況とオウム

今まで読んだ本の一覧はこちら↓

読んだ本
本 タイトルをクリックすると書評記事に飛べます。 2019/01/13 ★★☆☆☆ 幸せを引き寄せる 新解・数秘術 2019/0...

筆者である髭林おなもみや、記事内容について気になることがあったらお気軽にご連絡ください。
髭林おなもみのプロフィールと活動一覧 職業、経歴、趣味など
髭林おなもみへのお問い合わせ

彼女募集中!
髭林おなもみは現在彼女募集中です。

俺のプロフィールは、
『髭林おなもみのプロフィールと活動一覧 職業、経歴、趣味など』
を参照し…

シェアする

error: