涼宮ハルヒの憤慨 分裂 驚愕(後) 著者:谷川流 書評 レビュー感想

涼宮ハルヒの憤慨

14歳(2007年)から読んでる涼宮ハルヒシリーズだが、10年以上経った2018年10月、やっと8冊目『涼宮ハルヒの憤慨』を読み終わった。
前作『涼宮ハルヒの陰謀』を読み終わったのはなんと2016年の10月だ。
本当に小説を読むのが遅すぎる。

今回読んだ憤慨は2本立てだったので、一つが長くて結構読むのに時間かかった。

『編集長☆一直線!』と『ワンダリング・シャドウ』どちらも安定して面白かった。
というか、涼宮ハルヒシリーズの世界観に浸れるだけでもう一定のおもしろさを感じてしまう。
アニメ版のBGM『いつもの風景』が聴こえてきそうなあの兵庫県神戸市西宮の風景が浮かんでくる。

だから面白さと同時にノスタルジックになるので、読むのが遅くなってしまうんだろうか。

個人的な評価は★★★★☆

編集長☆一直線!

SOS団のメンバーが小説を書く話。

個人的には古泉の以外は全部面白かった。
というか古泉のミステリってどんな内容だったっけ。
読んだばかりなのに思い出せない。

みくるちゃんの冒険活劇は挿絵も可愛くてよかった。
長門の抽象的なショートショートは世界観がほんとに素晴らしい。

俺は中学高校でタルパを作っていた頃から、脳内に白い宇宙空間みたいなのが常にあるんだが、長門の抽象的SSはなんかそれを想起させる世界観だった。
アニメ1期の長門のキャラソン『雪、無音、窓辺にて、』ってこの話での長門のSSが元になってたんだな。

キョンの恋愛小説は最後にオチが明かされるまで何のことかわからなかった。
俺は小説にしても映画にしても、先の展開を読んでやろうという意識が全く無いので、まんまと騙されるというか、良く言えば純粋に楽しめる。

ワンダリング・シャドウ

SOS団のメンバーが、依頼されて幽霊(ウィルス)退治?をする話。
街の散策が多く、読んでいて西宮の風景が浮かんできた。

途中、キョンと長門と古泉で、情報生命がどうとかの話になった時、まさにSFという感じで楽しめた。
これって人間でいうところの魂の話じゃねと思ったら、実際にそういう話も出てきたし、やはりハルヒはSFだけでなく引き寄せの法則やスピリチュアルな感じも含んでいる。

というかほかでも散々考察されているかもしれないが、涼宮ハルヒの憂鬱って、ハルヒが望んだことがなんでも叶ってしまうというより、キョンの独我論の世界で、キョンの望んだことが叶っていっている世界な感じがする。
この話の最後で、「現実的な現実なんて求めてないのさ」みたいな台詞が出てきてさらにそう思った。

阪中さんと樋口さんの犬を治すシーンは、挿絵の長門が可愛かった。
阪中さんも挿絵で少し登場するが、ショートヘアでかわいい。

その他

今回は二本ともそこまで大きな展開の盛り上がりはなく、シリアスな雰囲気もあまりなく、まったりと読めた。

俺が小説、特にハルヒシリーズを読むのに時間がかかるのは、やはりラノベ特有の長ったらしい言い回しのせいだと思う。
ハルヒシリーズは結構知らない熟語や表現も出てくるし、何より
「○○したときの○○のような表情で」
というレトリック?が情景を浮かばせるのに苦労して立ち止まって考えてしまって読むのに時間がかかる。

まぁ全体的にハルヒシリーズの文体はラノベっぽいというよりキョンっぽいのでいいのだが、とにかく読むのに時間はかかる。

残るは分裂と驚愕だが、二つとも長編?なので結構読むのに体力がいりそうだ。
ちなみに今は小説より、村上龍のエッセイ『すべての男は消耗品である。』のVol.3が読みたい。

小説もエッセイもまたぼちぼち読んでいきます。


涼宮ハルヒの憤慨 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの分裂

2019年1月、涼宮ハルヒシリーズ8冊目『涼宮ハルヒの憤慨』に続いて9冊目である『涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)』を読んだ。
ハルヒシリーズが好きすぎて、SOS団が活動してる話というだけで楽しめるので、今作も楽しめた。

個人的な評価は★★★★☆

後半から面白かった

今作は2年生になってからの話。
前半の部員集めのビラ配りの話などはあまり興味がなかったのでささっと読んだ。

後半、佐々木や九曜や橘京子が出てきてから辺りが面白かった。
驚愕自体は14歳の時点で買っていて、佐々木や橘京子などの見た目は知っていたのに、実際読んでどんなキャラなのか知るのは12年後の今になってしまった。

その辺りからAルートとBルートに分かれるのだが、これは世界線が分岐した(ハルヒが分裂した?)ということなんだろうか。
次巻(分裂)を読まないと分からないが、かなり俺の好きなテーマだ。
途中でわけがわからなくなりそうになるけど面白い。

佐々木は最初はあまり可愛いと思わなかったのだが、イラストを見たりしてるうちにかなり好きになった。
ハルヒシリーズではほとんどのキャラが好きだが、佐々木は特に好きかもしれない。
橘京子や九曜にはあまり魅力を感じない。

佐々木さんは世界を作り替えたり、破壊しようなんて全然考えないのです。
佐々木さんの意識は表も裏も、揺れずに固定されているの。
理想的です。
現実が気に入らないからって、ひっくり返さない。
すべてはあるがままに。

この安定感。
ハルヒの真逆だが、少しつまらないような感じもする。

『キョンが神説』を推すとしたらやっぱり佐々木は選ばれないんだろうな。
キョン自身の潜在的な願望として、日常がつまらない、突飛なことが起きてほしい、というのがあって、その気持ちが涼宮ハルヒという人間を引き寄せ、力を与えたのだとしたら。

結局、涼宮ハルヒの憂鬱という物語は、キョンの独我論的世界の物語なんだと俺は思っている。

涼宮ハルヒは自己愛性人格障害

と言うかいつも思うが、ハルヒの、日常がつまらない、なにか面白いことをしたい、と言って行動を起こし現実を変えるのは、多くの人間、特に10代の人間に共通する願望な気がする。
俺も13歳のときにハルヒのアニメに出会って影響を受けた。
(俺にとっては小6での大暴れが、なんというかハルヒ的行動だったので、前から因子はあったということだが。)

ハルヒが、小さい頃野球場に行ってあまりの人の多さと自分のちっぽけさに愕然とした、という話も、独我論や引き寄せの法則や自己愛性人格障害につながってくる思考回路だ。

作者の谷川流氏もそういうことを思って学生時代を過ごしたんだろうかと考えてしまう。

喋っているのはハルヒのみで、SOS団結成以来の歴史を、まるで真田十勇士の戦いぶりを伝える講談師のように語っている。
かなりの誇張が含まれているため、話半分で聞いておくように。

自分に関することを異常なほど人に話したがる、しかも誇張する、というまさに自己愛性人格障害の特徴そのもの。

「団員希望の一年生が一念発起して来たって言うんだ。なのに、お前の態度は入団を促進させる効果を何一つ伴ってなかったぜ。連中、二度と来ないかもしれん」
「かもね」
ハルヒは軽快にブラインドタッチしつつ、
「そうなったらなったでいいわ。こんなことくらいでめげる団員をあたしは所望していないから。気合いのあるヤツだけ集まればいいの。捨て鉢な気合いを持ってるだけでもダメだけどね。あたしが作った入団試験、そのことごとくに合格するような一年以外は願い下げよ。ハードル競走の道は長くて、障害物は高いのよ。冷やかしで来るような凡人を求めるほどSOS団は人材に困ってなんかないんだからね」

他人が自分を受け入れられるかどうか徹底的に『ふるい』にかける。
まさに自己愛性人格障害。

同じ自己愛性人格障害として親近感を覚えすぎて怖い。

涼宮ハルヒというキャラクター自体は好きではないが、涼宮ハルヒの自己愛性人格障害的思考回路は俺そっくりなので、重要に思えてくる。

その他

言っとくけど、あたしは笑いには厳しいからね。
まずシモネタとモノマネは問答無用で却下。
とにかく何か極端なことして笑いを取ろうとするのは全部ダメ。
トークで勝負しなさい、フリートークで。
思うんだけどね、そもそも人が笑う仕組みというのは──

ガキの使いでのダウンタウンのトークとか好きそう。

「古泉」
「何でしょう」
「お前、長門が休んでいたことを知っていたのか」
「だとしたら、どうします」
「言わなかったことを責める。咎める。場合によってはつるし上げる」
「神に賭けて、知りませんでした」

なんかワロタ。

次巻『驚愕』で、涼宮ハルヒシリーズは止まってしまうのかと思うと寂しすぎる。
谷川流氏がどうしても続きを書けないらしいが、なんでもいいから続きを読みたい。
アニメ三期もないだろうし、ハルヒというコンテンツが永久に止まったままなのは悲しい。

ところで、今度神戸に帰ったとき、ハルヒの舞台となった西宮をぶらつきに行こうかな。

とりあえず次巻を読みます。


涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの驚愕(後)

2019年2月、ついに涼宮ハルヒシリーズの最新刊『涼宮ハルヒの驚愕(後)』を読み終わってしまった。
中学のときにアニメで知り、俺の人生に多大な影響を与えた作品だけに、喪失感が凄い。

涼宮ハルヒの驚愕もとにかく面白かった。
世界が分岐していて、読んでて少し混乱したが、最後にまとめなどがありだいぶ理解できた。

個人的な評価は★★★★★

最高

とにかく面白かったとしか言いようがない。
タイムトラベルにおける時間の概念など、ワクワクする描写が多かった。

「お前は自分のいた未来をどうにかして変えようとしているのか?」

「だとしても、そりゃ無理だろ」

「時間ってのはパラパラマンガだ。いくら未来から過去に介入しようが、そんなものは決まった時間の一枚にイタズラ描きするのがせいぜいで、未来には何の関係もないんじゃねーのか?」

世界分岐モノ、というのは映画でも小説でも見たことなかったので新鮮だった。
インセプションやシャッター・アイランドなど、その手の映画は殆ど見てきた自負があるが、世界分岐モノはなかった。
また似た小説などがあれば探して読みたい。

ちなみにヤスミがハルヒだったということには全く気づかなかった。
先読みができないアホであるおかげでそういうところも楽しめて得だと思っている。

完結

ハルヒは、タイムトラベル、パラレルワールド、閉鎖空間など、俺の好きなテーマが盛り込まれていて、まさにドンピシャの作品だ。
ハルヒ以降、小林泰三氏や乙一氏の小説にハマったり、インセプションやメメントなどの似たテーマの映画にハマった。
ハルヒは俺のルーツになっている。

アニメが流行ってたのも10年以上前だし、谷川氏は続編を書けないようだし、このまま終わってしまうんだろうか。

あとがきで谷川氏がやたら謝っていて驚いた。
これだけ重厚で伏線貼られまくりの作品は、本当に書くのが大変なんだろうなと思う。

俺は、驚愕の終わり方で完結という風に受け取りたい。

他の人も書いていたが、ハルヒシリーズは、続けようと思えば続けられるし、どこでも終われるような感じだ。
鶴屋さんの花見とか、高校3年とか、大学とか色々あるんだろうけど、悪い意味でなく、大体同じように続いていくんじゃないだろうか。

まったりしたストーリーで進行しつつ、たまに消失や驚愕のような山場を作っていく、というのを繰り返していくというか。
繰り返すと言っても、伏線が増えれば増えるほど、矛盾しないようにする必要があると思うので、大変そうだ。

原作は驚愕で事実上終わったと受け止めつつ、たまにネットのSSなどを読んでハルヒの世界を楽しもうと思う。
というかハルヒSSとかは10年前くらいが全盛期だったと思うが、読むのがおそすぎて今になってしまった。
もっと前に読み終わってたら感じ方も変わってただろうか。


涼宮ハルヒの驚愕(後) (角川スニーカー文庫 た 1-1-11)

まとめ

けいおんもそうだし、10代の頃に心から楽しんだ作品が過去のものになっていくのは正直つらい。
この先、ハルヒやけいおん並に熱中できる作品に出会えるだろうか、という不安や寂しさはある。

ところで、少し前から読んでいた村上龍氏のエッセイ『すべての男は消耗品である。』も残すは最終巻だけとなってしまい、積読をすべて消化してしまった。
だが読みたい本はまだまだあるので、今後も読書を続ける。

読みたい本は近所の図書館に大体あるし、最近は読むスピードも早くなってきて楽しい。

とりあえず次は小林泰三氏の『因業探偵』『殺人鬼にまつわる備忘録』『安楽探偵』や道尾秀介氏の『向日葵の咲かない夏』や中島らも氏の『バンド・オブ・ザ・ナイト』や星新一氏のショートショート集などを読んでいこうと思う。

今まで読んだ本の一覧はこちら↓

読んだ本
好きな小説(好きな話) 酔歩する男(玩具修理者 収録) 失われた過去と未来の犯罪 忌憶 哲学的ゾンビもしくはある少年の物語(...

筆者である髭林おなもみや、記事内容について気になることがあったらお気軽にご連絡ください。
髭林おなもみのプロフィールと活動一覧 職業や経歴など
髭林おなもみへのお問い合わせ

彼女募集中!
髭林おなもみは現在彼女募集中です。

俺のプロフィールは、
『髭林おなもみのプロフィールと活動一覧 職業や経歴など』
を参照してくだ…

シェアする

error: