声と姿勢の関係性 首の角度と外喉頭筋群の発動度合い 上向き発声は高負荷トレーニングになる 無声練習の方法 等

声と、首の向きや首の角度(下向いたり上向いたり)には大いに関係がある。

結論から言うと、
『真上を向くと、外喉頭筋群が不自由になる傾向がある』
ということ。

とにかく高音が出しづらくなる。
かといって、低音が出しやすくなるわけでもない。

この記事で詳しく説明していく。

『首の角度』と『声の出しやすさ』

↑外喉頭筋群の参考画像。

外喉頭筋群を踏まえると、『首の角度』が『声の出しやすさ』と大きく関係することがわかる。

実際に試してみてほしい。

真上を向くと、高音が出しにくく、声自体出しづらくないだろうか?
真上を向いてアンザッツ5+仮声帯ノイズやホイッスルボイスなど、引き上げ系の声を出してみてほしい。
ホイッスルボイスは特に難しく、音が立ち上がらないと思う。

下向き気味のほうが、声自体出しやすくないだろうか?
というより、逆に言うと、アンザッツ3aやアンザッツ6など、喉頭位置が低い声を出そうとすると、自然と顎を引いてしまわないだろうか?

多くの人は、下を向いて、顎を引くと二重あごになると思うが、それによって、顎の肉で喉頭が下に押し込まれるのではないか。
すると、引き下げが働き、内筋が発動しやすくなって良い声になるはず。

さらに、引き下げ時には最大限の伸展と開大もできるので、高音も出やすくなるはず。

ハイトーンボーカリストとして有名な小野正利さんや稲葉浩志さんも、基本的に顎を引いて歌っている。
オペラ歌手(特に男性)もほとんど顎を引いて歌っている。

『人間は無意識に、出したい声の発動する外喉頭筋が発動しやすい首の向きをする』
のではと思う。

逆に言うと、デフォルトで顎を引いてる姿勢や骨格の人は、喋りやすかったり歌いやすかったりするはず。
これは、太っている人(常に顎肉が喉頭位置を引き下げている?)に歌が上手い人が多いことにも関係してるんじゃないかと前から思っている。

ストレートネックやクレーンネック(冒頭の画像参照)の人は、上向き気味、顎突き出し気味になっていて、デフォルトで外喉頭筋群が不自由で、常に喋りにくかったり歌いにくかったりするはず。

最近は、歌うときは若干顎を引き気味を意識しているが、声が出しやすい。
というか、ギターをかき鳴らしてハイテンションで歌っていると、高音で張るときに自然と顎を引いていることに気づいた。
もちろん、フレーズや出したい声によっては上向き気味になることもあるが。

あと、俺に限らないと思うが、右を向いてるときと左を向いてるときで微妙に声の出しやすさが違うということもある。
CHAGE and ASKAのASKA氏も、ブログでそのようなことを言っていた。
ちなみに俺の場合は、右を向いてるときのほうが声が出しやすい。

この記事はあくまで『上向き』『下向き』について扱っているので、右向き左向きについては割愛する。

上向き発声は高負荷トレーニングになる

上を向くと外喉頭筋群が可動しづらくなり、声が出しづらいのは間違いないわけだが、逆に言うと、
『高負荷トレーニング』
になると言える。

出しづらい状態で出すから、普段より筋肉に負荷がかかる。
そこそこの期間検証したので間違いない。

発声訓練も、身体の筋トレと同じく、筋肉を使っていくということなので、負荷をかけたほうが良い。
厳密に音色を意識して各アンザッツを出す練習も大事だが、上を向いて筋肉に強い負荷をかけながら、暴れるような、異端なトレーニングも必要だと俺は思う。

以下に上向き発声での高負荷トレーニングの方法を書いていくが、基本すべて『吸気発声』でやることをおすすめします。

引き上げを鍛える

まず、引き上げ系の吸気地声で、音程をどこまでも上げていく。
その際に、これ以上上を向けないくらい上を向いてやると、めちゃくちゃ出しにくい。
音が上がりきらないか、裏声にすっぽ抜けるのどちらかになる。

また、上を向いた状態でいきなり出そうとすると、立ち上がりが間抜けな裏声になったりする。

それでも無理やり、前を向いた状態から声を出して徐々に上を向いていって、(筋トレの)背筋みたいな動きをしながら、出来る限り真上を向いて出るようにしていく。
すると様々な効果が現れる。

それをやったあとは、通常の首の向きで出す地声(呼気も吸気も)がかなり出しやすくなる(努力性が下がる)。
さらに、裏声の仮声帯ノイズもかなり出しやすくなり、パリパリ感が高まる。

呼気裏声の仮声帯ノイズも、上を向くと出しづらい。
音が上がりきらないのに加え、仮声帯ノイズがパリパリと鳴ってくれない。

その状態で、背筋みたいに更に真上を向く動きも加えながら、何回か出した後、通常の首の向きで同じ声を出してみると、普段より出しやすく、ノイズもパリパリと鳴る。

そして、最も引き上げが鍛えられるのは、
『極限上向き舌出し吸気引き上げ裏声仮声帯ノイズ最高音発声』
である。

限界まで上を向き、さらに舌を出し、その舌を軽く噛みながら、喉頭位置を最大まで引き上げた吸気裏声+仮声帯ノイズで、自分が出せる限界の最高音を出し、背筋みたいな動きをする、というものである。

めちゃくちゃ疲れるし、見た目的にも異常極まりない練習方法だが、これは、上記の上向き吸気地声などよりもさらに引き上げが鍛えられ、閉鎖筋、外筋、仮声帯が急成長する。

あと、かなりいろんな声が出せる人や、歌唱力がある人でも、『吸気での仮声帯発声』は出来ない人が多い。
俺はもともと出せたので、出せない人がどうやって出せるようになるかは説明できない。

とりあえず頑張ってみるか、どうしても出せない場合は、とりあえず普通の吸気地声や吸気裏声で、上向き発声をやってみることをおすすめします。

ただこの練習は、あまりにも引き上げが鍛えられすぎて、引き下げとのバランスが取れなくなる場合もある。
そうなると困ることも多いので、必ずバランスを考えて慎重に行ってください。

吸気での仮声帯発声についての詳細は、以下の記事を参照。

仮声帯発声と吸気発声の方法と効果 閉鎖筋や引き上げが鍛えられ呼気圧迫を軽減できる 声の成長速度を早める 等
仮声帯発声とは、声帯の上にある仮声帯というひだを内転させて出すノイズのかかった声のこと。 その声を出すことによって、主に閉鎖筋が鍛えられる...

あと、自分はタングトリルが苦手で、上を向かないとなぜか出来ないので、現時点ではタングトリルは上を向いてやることにしている。

引き下げを鍛える

俺は基本的には、上向き発声は引き上げを鍛える高負荷トレーニングとして特化していると思っている。

引き下げに関しては、上にも書いたように、下を向いて顎を引いた状態で3aや6(もちろん呼気も吸気も)の上昇をやるのが良いと思っている。

ただ、限界上向き3a上昇も、何らかの効果があった。
個人的には開大つまり引き下げに効いた感じがしたが、詳しくはわからない。

やり方としては、まず上述のように限界まで上を向き、口を開け、喉頭を最大限引き下げながら、3aを出し、音程を上昇させていく。
引き下げを鍛えることが目的なので、舌を出す必要はなく、ハミングじゃなく、口を開けて、閉鼻で、最大限引き下げつつ声を出す。
音が立ち上がらず、裏声にすっぽ抜けると思うが、それでもそのまま3aにしようと頑張っていく。

そうすると、開大が鍛えられる。

引き上げにしても引き下げにしても、限界まで上を向いてやったほうが、通常より負荷がかかって筋トレ的効果が高いというのは間違いないと思う。

声を変化させるには、今まで出してこなかった声、普段出さない声を出すのが重要。
そう考えると、真上を向いて声を出す、ということは普段しないし、効果があるのも納得できる気がする。

とにかく上向き発声はしんどいが、声帯に対して危険な感じはしない(吸気でやると特に)。
それに、長期的にも短期的にも目に見えた効果がある。

通常の首の向きでの練習に加え、限界まで上を向いたり、限界まで下を向いて顎引いたり、
『普段しない首の向き』
での練習を取り入れることをおすすめします。

無声練習(声を出さない発声訓練)で外喉頭筋群を鍛える方法

上述の高負荷トレーニングに加え、無声練習、つまり、
『声を出さなくても外喉頭筋群を鍛える方法』
もある。

声を出す練習に比べると効果は小さいが、長期的に鍛えることにもなるし、高負荷トレーニングと同じく、それをやってすぐにも、声の出しやすさが変わる。
おそらく効果があるのは俺だけではないと思うので、興味がある人は試してみて欲しい。

引き上げを鍛える

まず、喉頭位置を上げる筋肉を鍛える方法。

とてもシンプルで、
『限界まで真上を向いて、その状態で若干顎をしゃくれさせながら唾を飲み込む』
だけ。

それでも足りない場合は、かなり不格好になるが、
『限界まで真上を向いて、その状態で顎を若干顎をしゃくれさせながら舌を限界まで出して舌を軽く噛みながら背筋の動きをする』
という方法もある。
俺の場合前者では足りず、後者を思いっきりやらないと効果が薄い。

やってみると分かると思うが、めちゃくちゃ苦しい。
唾を飲み込もうとしてもなかなか飲み込めないと思う。

だがその苦しい動作を3~4回繰り返すだけで、明らかに喉頭を引き上げる筋肉と、閉鎖する筋肉が鍛えられている。
それをやり終わった後、声を出してみると明らかに閉鎖が働いた声が出しやすい。

ちなみに俺はこの練習をやった翌日、顎の下が痛くなった。
危険な痛みではなく、よくある筋肉痛の痛みなので、気にしなくていいはず。

また、
『ホイッスルボイスを出そうとして声だけ出さない状態』
をやると、無声でも伸展や閉鎖が鍛えられるようだ。

引き下げを鍛える

次に、喉頭位置を下げる筋肉を鍛える方法。

これは、
『姿勢を正して、口を閉じて限界まで顎を引き、その状態で口を開けて、下の歯をむき出して、アゴの圧力で喉頭位置をグッグッと下げる動きをする』
『口を半分開けた状態を維持しながら、喉頭を引き下げながら、限界まで下を向きながら何度も頷く動きをする』
など。

または、
『限界まで真上を向いて、その状態で大口を開け、舌根を下げ、喉頭位置をグッグッと下げる動きをする』
という方法もある。

それをやった後に声を出してみると、開大が発動した声が出しやすいはず。

無声練習は、静かに行えるので便利。
歌う前の身体のストレッチにも使える。

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『声』と『姿勢(背骨)』と『人格』の関係性(仮説)

ここからは仮説です。

上に、上を向くと声が出しにくい、下を向くと声が出しやすいと書いた。

真上を向く・顎を突き出すというのはストレートネック・クレーンネックなどの『悪い姿勢』に近い。
だが、顎を引くのは、一般的に悪い姿勢とは言われない。

短絡的だが、やはり、
『良い姿勢だと声も出やすい』
ということなんだろうか。

これまで『声』と『人格』の関係性について考えてきたが、今回『声』と『姿勢』がつながった。
そして姿勢は主に『背骨』の話だ。

ここ最近俺が学んでいる野口晴哉氏の『体癖』をあわせて考えると、『背骨』は『人格』に関わってくる。

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つまり、
『声』
『姿勢(背骨)』
『人格』
は、すべて関係しあっている。

そのことでわかるのはつまり、
『その3つのどれかを変えてしまえば、他の2つに影響する』
ということである。

具体的なものから変えるのが確実

ただ法則があり、『具体的なもの』を変えたほうが『抽象的なもの』は変えやすいということ。
上の3つで言うと、『姿勢(背骨)』という物理的で具体的なものから変えたほうが、声や人格に影響がでやすい。

声や人格という抽象的なものから変えようとすると、背骨という物理的で具体的なものに阻まれやすい。
これは実体験からも間違いない。

俺は何十年もパソコンの前に座って過ごしてきて、姿勢が悪く、どちらかというと顎が前に出ている。
俺の知り合いは、ずっと前に俺の声を聴いただけで俺の姿勢が悪いことを見抜いた。
たぶん声のバランスから、顎が突き出ていて、自由度が低くなっていることがわかったんだろう。

顎を引くと、背骨がピンとなり、基本的には良い姿勢になる。
そして、真上を向いたり顎を突き出すと、背中や腰は曲がる。

(顎を引くと腰が反るといっても、体ごと下を向いて顎を引く(体ごとを前めりにさせる)
というのもあるし
上を向く・顎を突き出すと背中が曲がるといっても、体ごとを後ろにのけぞらせて上を向く
というのもあるので、一概には言えないが。)

これらはまさに体癖論でいうところの『腰椎』が関係しているはず。

腰椎1~5番のどこに偏って生まれてきたかで人格(嗜好やこだわりなどあらゆるもの)がある程度決まる、というのが野口晴哉氏の体癖論だ。

腰椎何番かが硬い→背中が曲がる(顎が突き出る)→声が出しづらくなる
腰椎何番かが硬い→背中や腰が反る(顎を引く)→声を出しやすくなる
というようなことが有り得そうだ。

『声と人格』
も、
『声と姿勢(背骨)』
も、
『姿勢(背骨)と人格』
も、すべてつながっていて、相互作用しているということになる。

しゃくれと下唇

顔の『骨格』は、姿勢と違って変えることがかなり難しいが、それも声に影響しているのではと思う。

上に、顎を引くと引き下げが働いた声が出しやすいと書いたが、他にも、顎をしゃくれさせたり、下唇を下の歯に少しかぶせながら声を出しても、引き下げの働いた声、つまり開大した声が出しやすくなる。
また、高音で喉頭位置が上がってしまいそうになるときに低い喉頭位置を保てる。

これは、ハイトーンボーカリストや、歌が上手い人にアゴがしゃくれ気味な人が多いのと多少関係あると思う。
小野正利さんとかB’zの稲葉浩志さんとかX4のKODAIさんとか。

スピッツの草野マサムネさんもアゴしっかりしてるほうだし、ライブでは頻繁に下唇を下の歯にかぶせたような口の開け方をする。
草野さんは開大がかなり強い。

草野さんはわかりやすく、引き下げを保ちやすい口の開け方をしているので、Youtubeのライブ映像なので確認してみてほしい。

最近は、『骨格が声に影響する』というのは、『声帯の長さ』や『共鳴腔』云々より、
『外喉頭筋群をどの方向に引きやすい首周りの形をしてるいるか』
が重要な気が最近はする。

たぶん、顎がしゃくれ気味の人は、普段生活しているだけで、普段しゃべるだけで、引き下げ系が鍛えられているのではないか。

このことは個人的に目からウロコだが、どこまで正しいかはわからない。

とりあえず、真上を向く、顎を引く、という風に首の角度を変えてみて、自分の声がどう変わるか、どんな声が出しやすく、どんな声が出しにくくなるか、試してほしい。

まとめ

以上です。

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